大賞に鶴田さん、重田さん、重原さん 鹿児島県龍郷町が短歌・俳句・川柳コンクール
鹿児島県龍郷町が実施した第22回短歌・俳句・川柳コンクール(町教育委員会主催)の表彰式が6日、同町のりゅうがく館であった。各部門の大賞受賞者は、短歌が鶴田義晃さん(64)=熊本県菊池市、俳句が重田シオリさん(91)=同町戸口、川柳が重原よし子さん(76)=同町浦。学校賞には龍北中が選ばれた。 コンクールは町民の言葉の表現力を育み、情操教育により心豊かな人間性を形成することを目的に毎年実施。第21回からは、友好都市の熊本県菊池市からも応募を受け付けている。対象は小学生以上でテーマは自由。 今年は計604点(短歌136、俳句354、川柳114)の作品が寄せられた。このうち100点は菊池市からの応募。表彰式には大賞に選ばれた3人が出席。碇山和宏教育長から賞状と副賞を受け取った。 鶴田さんの作品は「金色に揺れる穂波を願いつつ災害なしと祈る井手守(いでもり)」。小中学校の教員を退職後、地元で農業用水路を管理する仕事をしたときの経験を基に短歌を詠んだ。「賞をいただけて感謝している。奄美大島に来るのは初めて。良い機会になった」と喜んだ。 「黄泉(よみ)の息子(こ)の時計は刻む時の日を」に、29歳で亡くなった息子への思いを込めた重田さん。「33回忌も過ぎたので、懐にしまっていた俳句を思い切って出してみた。思いがけず大賞をいただき、きっと息子も喜んでいるはず」と目を細めた。 重原さんは9月に訪れた東京で見た光景を「地下鉄の優先席はスマホ席」の川柳にしたためた。若者がわれ先に優先席を陣取り一心にスマートフォンを操る姿から、科学の進歩により人間の心が失われていく様子を風刺した。大賞を受け「これからまた新しいことにも挑戦していきたい」と意気込んだ。
奄美の南海日日新聞