関電 代々続いた「金品授受」30年抜けられなかった理由とは 第三者委が会見
関電 代々続いた「金品授受」30年抜けられなかった理由とは 第三者委が会見
関西電力(関電)幹部らによる金品受領問題を調査した「第三者委員会」(委員長・但木敬一元検事総長)は14日、調査報告書をまとめ、大阪市内で会見を行った。会見では関電の75人に福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から3億6千万円の金品受領が確認されたことなどが明かされ、但木委員長は「金品を受け取ること自体が森山氏のブロックに入れられ抜けられない事態を招いた」とした。そして「(関電側は)ユーザーに自分の行為はどう見えるかということをまったく考えてない」と指摘した。 【中継映像】関電の金品受領問題 第三者委が最終報告で会見(2020年3月14日)
75人が約3億6千万円の金品を受領
会見では、関電が行った社内調査で判明した23人の金品受領者以外に、同委員会の調査によって52人の関電関係者が森山氏から金品を受領していたとし、計75人が金品を受領、その額の合計が約3億6千万円にのぼることが明かされた。 同委員会は、森山氏が社会儀礼の範囲をはるかに超える多額の金品を提供したのは、その見返りに関電役職員に自らの要求に応じ、自分の関係する企業への工事などの発注を行わせ、これらの企業から経済的利益を得るという構造・仕組みを維持することが主たる目的だったと判断した。
金品授受という共犯者の鎖
但木委員長は会見で「『金品をもらってはいけないのでは』という社員もたくさんおり、これをなんとかして返そうとずっと保管しているわけですけれども、その人たちにとって、金品を受け取ること自体が、言ってみれば森山氏のひとつの鎖みたいなブロックの中に入れられてしまうということで、共犯者の中にいれられて抜けられないという事態を招いていた。これを『足かせ』と呼んでいた」と説明した。
代々続いてしまった金品授受
代々続いてしまった足かせ。社員らが金品授受を先輩に相談しても「代々そういうことがある。あとで返せばいい」「森山さんを怒らすなよ」という忠言を受けていたことも明かした。 これが代々行われたことで、この内容が世間で公表されたら、関電のレピュテーションが潰えることで「森山氏をさらに怒らせたくない」という強い動機を生み出していく、常にグルグル回る構造になっていたように思うと説明した。 このほか、森山氏が福井県の客員人権委員で、関電の原子力部門の幹部を対象とした人権研修に主催者のような形で出席。県の幹部などとつながりがあることが、非常に森山氏の権威を高める要素になっていたと指摘した。