【動画】「ラジオに育てられました」 ── タレント・女優、安井牧子の生き方
「私って、ほんとどんくさいんです」と明るい笑顔で語るのは、俳優の妹尾和夫が主宰する「劇団パロディフライ」の女優でタレントの安井牧子(52)。現在は12月に行われる同劇団本公演「桐子さんですね。はい」の稽古で汗を流す。テレビ・ラジオの人気番組でアシスタントを担当するなど関西を中心に活躍してきたが、実はデビューのきっかけとなるオーディション採用の際、考え方を一歩間違っていたら今の生活はなかったかもしれない。そんな安井牧子の生き方を追ってみた。 【動画】演出補・安井牧子の姿も。劇団パロディフライ稽古風景も撮ってみた
「おはパソ」アシスタント採用決定に「考えさせてください」
兵庫県宝塚市出身。短大卒業後に製薬会社へ就職しOL生活を送っていたが1985年に運命が変わった。友人と一緒にABC朝日放送ラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です(おはパソ)」のアシスタント公募に応募し、約1500人以上の応募の中から採用が決まった。ただ、あまり喜べなかった。「正直、乗り気じゃなかったんです。通った時に『少し考えさせてください』と答えちゃって」 帰宅後も迷いがあった。思えば製薬会社に入るのもとても大変だった。「それを急に辞めるなんてできない」。だが、そんな安井に番組プロデューサーから「1500人の中には、このオーディションのために会社を辞めてまで受けにきた人もいるんだよ。そのことをよく考えて」と言われた。 この言葉を受け、悩んだ末に会社を辞める決意をした。このとき「選択は捨てること」だと分かったという。「会社にはご迷惑をおかけしましたが退職させて頂きました。ここで人生の大半の運を使ってしまいましたね」。だが、これがタレント、安井牧子の誕生の瞬間だった。
様々な番組で経験を積み女優の道へ。妹尾との出会い
「おはパソ」という人気番組のアシスタントに就任。目の前には、ABCの道上洋三アナがいて、毎日様々なスペシャリストがゲストに来る。 「いつだったか、つまようじを作る職人さん河内長野市からゲストにいらして。つまようじの先端の反対側のだんだんになった切り込みは、箸置きのようにして使う、というのを話して頂いたんです。しゃべりはお上手というわけではなかったけど『的確に大事なところを話す』という姿をみて、すごく勉強になったのを覚えています」と振り返る。 また「おはパソ」と言えば阪神タイガースを応援する番組としても知られているが、アシスタントとして「私が優勝させます」と道上アナに豪語。その結果、阪神は21年ぶりの優勝を果たし、日本一にまで輝いたことは、現在も語り草になっている。 同番組を卒業後は、MBS毎日放送の「痛快!明石家電視台」で明石家さんまを相手にアシスタントに。読売テレビ「ニューススクランブル」では辛坊治郎とのキャスターも務めるなど、マルチに活躍した。そして、それらの番組降板後、縁あって俳優の妹尾和夫が主宰する「劇団パロディフライ」の演技指導を受けることに。 そして、ちょうど劇団に欠員が生じたことから入団することに決まった。これが、女優としての第1歩を踏み出した瞬間だった。「妹尾さんの存在は大きい。この道を切り開いてくれた人ですから。ほんまに尊敬しています」。現在では、1人で何役もこなす「1人芝居」を毎年行うなど、女優としてのキャリアも積んでいる。