「肌色が残るのが納得いかないんですよ」耳の中から局部まで…全身に刺青を入れ続ける、元極道の半生
全身刺青男 #1
「肌色の部分をなくしたい!」と全身に刺青を入れ続けた男がいる。熱海龍さん(64)だ。10代で宮大工の祖父、極道の父への憧れから刺青を入れはじめ、60代で彫師からは「もう入れられるところはない」と言われるまで突きつめた。 【画像】全身刺青男、衝撃の全身図 彫られることによる痛みを緩和するため「今日はマッサージを受けるぞ!」とイメージトレーニングをしながら、かつて週3回無遅刻無欠勤で通い続けた原宿のタトゥースタジオで、その半生を聞いた。(前後編の前編)
耳の穴の中まで入れた刺青、痛みはイメトレで克服
──熱海さんの刺青の量が、日本一ではないかとうかがいました。 熱海龍さん(以下同) 細かく確認したわけじゃないけど、俺以上って聞いたことがないかな。俺は男の大事なところをはじめ、肛門の周辺のシワも伸ばして入れているし、耳の穴の中にも入れています。先生(彫師)も見たことがないとおっしゃっていますね。だからここまでしているのは国内では俺くらいではないかと。 そういえば、この前、イベントで同じくらい入れている名古屋の方にお会いしましたが、少なくともこのふたりがツートップでは。 ──耳の穴の中まで!? 肌色が残るのが納得いかないんですよ。まだ肌色がある……って探してたどり着いたのが、耳の穴の中だね。先生には本当に苦心して入れていただきました。それと珍しいところでは口唇の裏も入っているよ。 ──逆に、今入れていないところはありますか? 手の平と足の裏は顔料が抜けてしまうから入れられない。以前、足の裏は入れたけど抜けてきちゃったね。それと刺青って皮膚をピンと張らないと彫れないからサオ、タマも入れられません。ゴムで縛って先端には入れたけど。あと目のキワのような、眼球に近いところは難しくて限界まで攻めてもらって。 ──痛かったところは? どこも痛いよ~! 特に痛いのは急所と脇の下。唇や息子の先端は出血が多いから先生が大変だね。痛みは、切れないカミソリでぐりぐり切られているようなイメージで、後からもジンジン、ヒリヒリしてくる。 10時間連続で彫っていたこともあります。先生がマシンを洗い始めて、終わったって安心していたら、彫ったところを見直して「もう少し直していいですか?」なんて言われた日にはね……「勘弁してくれ!!」って。 ──痛みは平気なんですか? 平気じゃないよ(笑)。なんといっても、イメトレが大事ですね。今日はマッサージを受ける ぞ!って思い込むんです。今日は原宿(スタジオ所在地)で気持ちいいマッサージの日だ、やった ー! って。長く思い込んでいれば気持ちよくなってきます。でも先生に何度も痛いところを彫られ ると「今日はなにか気に食わないことがあるのかな……」ってつい不安になったりね。 それと、先生がいつも聞いてくれるのは「ちゃんとご飯を食べてきましたか?」ってこと。空腹だと血流が激しくなっていて、血も出やすいし痛みも感じやすいんだって。