「異物混入」も大声援の「551蓬莱」、なぜここまで愛されるのか? 地元密着を貫くことで、SNSでバズる「名物」になったその背景
私は旅行に行くとき、著名な観光地より、ローカルチェーン店を訪れがちだ。スーパーの品ぞろえを眺めるだけで、自分の生活圏との違いに気づける。見たことのない「焼肉のタレ」が並んでいるな。近くの港では、こんな魚がとれるのか。フードコートのラーメンが安すぎる……。ガイドブックに載っていない、そんな「町の当たり前」の中に、旅の醍醐味がある。誰かの日常は、自分の非日常だ。 つまり観光資源は、灯台下暗しなのである。「秘密のケンミンSHOW」シリーズ(読売テレビ、日本テレビ系)が長寿番組になり、「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)の地域差ネタが話題になりがちなのも、こうした地元民とヨソ者のギャップからと言えるだろう。
地元で長年愛されていた銘菓が、ふとしたきっかけで注目されて、一気に全国区の人気を得たという話は珍しくない。もちろん前提条件として、その土地の人がオススメできる商品である必要はあるが、どこかのタイミングで「見つかってしまう」のだ。 551についても、地元での知名度が高かったからこそ、全国からの人気を集めた。関西在住者からプレゼントされたり、吉本芸人のエピソードトークに出てきたり……。そうしたクチコミが地盤にあったうえで、行列や旅情による「プレミア感」が、購買意欲をかきたてる。
その他にも、要因としては「他の大都市と比べて、大阪への出張者・旅行者は母数が多い」とか、「マスコミの多くが東京拠点のため、『お土産ネタ』を扱う際には、東京に並ぶ大都市・大阪の商品を取り上げる」など、いくつか理由は考えられるものの、いずれにせよ、551自身が他県への訴求を積極的にしているようには見えない。 やはり「地元密着」を徹底した結果、企業発信ではなく、消費者ベースで他地域へも波及し、ブランディング構築につながったと考えるのが自然だろう。
■出発点を忘れず、真面目に向き合うことの大切さ 筆者は年1回ほど大阪を旅するが、いつも観光よりも、食をメインに据えている。最後まで「くいだおれの街」を満喫するため、帰りの新幹線に乗る際には、何かしらの関西グルメを携えている。もちろん、551の豚まんはレギュラーだが、最近は焼売のほうが、ダイレクトに肉を感じられるので好みだ。もちろんカラシはべったりと付ける。 加えて、近年では「りくろーおじさん」のチーズケーキも台頭してきている。消費期限は常温だと当日、冷蔵でも3日。焼きたてのフワフワ食感は、時間を追うごとに落ち着いていくのだが、だからこそ、いとおしく思えてしまう。お土産グルメの評価軸として、「はかなげか否か」は、かなり大きなウエイトを占めていると感じる。