「異物混入」も大声援の「551蓬莱」、なぜここまで愛されるのか? 地元密着を貫くことで、SNSでバズる「名物」になったその背景
対応もそうだが、なにより以前からブランドイメージの高いことが、異物混入でもマイナス評価にならなかった大きな理由だろう。 551の豚まんと聞いて、関西圏との縁が薄くても、「存在は知っている」という人は多いはずだ。新幹線グルメでは「西の551豚まん、東の崎陽軒シウマイ」と並び称されるほどで、車内にホカホカのまま持ち込んで、そのニオイの是非が、マナーの議論になることも多い。 そのブランディングの肝は、地元・関西に特化していることに他ならないだろう。551には通販サイトがあるが、実店舗は関西圏に展開されているため、基本的にはローカルチェーンだ。ときたま、他地域の催事にも出向いているが、東京出展時には行列が珍しくなく、過去には「5時間待ち」と話題になることもあった。
ちなみに、同じく豚まんを製造している「蓬莱本館」という会社があるが、こちらは別の企業だ。551公式サイトでは「もともとのルーツが同じですのでどちらも蓬莱の名前を使用しておりますが、現在は全くの別会社。もちろん商品の味、製造方法も違います」と説明されている。 ■地元では「当たり前」でも、他の地域からすれば魅力的 お笑い芸人・なるみさんによる「551があるときー、ないときー」のテレビCMも、関西圏ではポピュラーなようだ……と、伝聞形式で書いているのは、筆者自身は関東出身のため、「おもしろローカルCM」のひとつとしてしか知らないからだ。
私たち「関西以外」の人間にとって、551の豚まんは特別な存在だ。しかし大阪出身の本コラム担当編集者は、「551の豚まんは夕方のおやつに食べるようなもの。たしかにウマいが、なぜそんなに全国的な人気があるのかわからない」と語る。そのギャップはどこから生まれるのだろう。 筆者は会社員時代、地域情報系ウェブメディアの在籍歴が長く、最終的には編集長も務めた。とくに人気だったのは、地域差を扱った記事。その土地では「当たり前」だと思われていても、他の地域からすれば魅力的に映る。対象となるのは、グルメはもちろん、言い回しや風習まで多岐にわたる。