合言葉は「みんな同じマイナス」!?チームでうまくやっていくために理解するべき「本当のリーダー」の役目
いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行する。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。 『君はどう生きるか』連載第13回 『「もめることは悪いことじゃない」...“和”を重んじる日本人だからこそ勘違いしがちな、話し合いで「一番大切なこと」とは』より続く
「一番大切なこと」への向き合い方
まあ、たいていは、チームにとっての「一番大切なこと」は、ぼんやりとは決まっている。 全国大会出場の常連校と、毎年、部員を集めるのに苦労しているチームでは、入部してくる人たちの心構えも違うだろう。 でも、練習内容の例のように、みんなが真剣になればなるほど、お互いがぶつかり、「一番大切なこと」をはっきりさせる必要がでてくるんだ。 例えば「全国大会出場校レベル」だと「全国大会で勝つこと」が一番大切なことだと思われるだろう。 そのためには、ハードな練習をする。でも、そのレベルはまだ対話する必要があるんだ。 最近は、甲子園に出場した野球部でも、「丸刈り、携帯電話禁止、1年間休みなし」というルールのチームもあれば、「頭髪自由、携帯電話自由、定期的に休む」というチームもある。 それは「すべてを犠牲にして全国優勝を目指す」というレベルと「野球を楽しみながら全国優勝を目指す」という違いと言えるだろう。 それは、誰かが強引に決めることじゃなくて、部員みんなが顧問の先生を巻き込んで対話し、決めることなんだ。
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