自転車通勤の先輩が「電車賃500円」をもらっていました。問題ないのでしょうか?
会社では、必要に応じて従業員の交通費や通勤手当を支給することがあります。 もし、実際とは異なる申請をして交通費や通勤手当を多くもらっている人がいたとしたら、その行為は「不正受給」に該当するかもしれません。 本記事では、交通費や通勤手当の概要や、本来より多くもらっていたことが会社に知られた場合に考えられるペナルティーについてもご紹介します。
交通・通勤手当とは?
厚生労働省によると、通勤手当について「通勤に要する費用を支弁するために支給される手当であり、『労働の対償』として支払われるものとして、労働基準法上の『賃金』の一部として整理されている」と記載されています。 使用者が通勤手当を支給することは法律で義務づけられていないため、会社によっては支給されない可能性もあります。
交通・通勤手当を本来より多くもらった場合のペナルティーは?
交通・通勤手当は自宅から会社へ行くまでにかかる交通費のことであり、バスや電車などの交通機関を利用する場合は、その運賃に相当する金額が支給されることが多くなっています。 実際は自転車通勤をしているにもかかわらず、電車を使ったことにして交通費を多くもらうことは、「不当利得」に該当すると考えられます。 民法第七百三条では、「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」とされており、不当利益を受けた場合は返還するよう求められる可能性があるため、その場合は応じる義務があることが分かります。 また、不正支給した金額が大きい場合などの悪質なケースでは、会社から懲戒処分が下される可能性もあるので注意が必要です。 懲戒処分には減給や出勤停止・懲戒解雇などさまざまな種類があります。 就業規則に書かれた懲戒の種類や内容、懲戒事由がペナルティーの内容として該当するので、気になる人は確認しておくといいでしょう。
詐欺罪に該当する場合もある?
交通・通勤手当の不正支給により、詐欺罪に問われることも考えられます。 実際にはかかっていない交通費を請求し、会社を欺いて通勤手当を不正受給する行為は、刑法第二百四十六条が定める「詐欺罪」に該当する可能性があります。 上記刑法によると、詐欺罪が成立した場合には10年以下の懲役が科されるおそれがあるようなので注意が必要です。