街頭演説で有権者に支援を呼びかける下村博文氏＝13日、東京都板橋区、東武東上線大山駅前（塚脇亮太撮影）

衆院解散後初の日曜日となった13日、自民党の派閥パーティー収入不記載事件に関係し、非公認の無所属で衆院選（15日公示、27日投開票）に挑むことになった前職らが、おわびをしながら地元を奔走した。当選を重ねたベテランも多く、これまでに築いた地盤に望みをかけるが、有権者の不信感は根強い。逆風のなかで厳しい戦いを余儀なくされそうだ。 【グラフィックでみる】衆院選、石破茂首相の勝敗ラインは？ ■下村氏「自分なりにけじめつけていく」 東京都板橋区のホールで開かれた東京11区の立候補予定者たちによる討論会。オンラインの視聴者も含めて約1700人の聴衆が登壇者4人の到着を待っていた。 午後2時、旧安倍派（清和政策研究会）元幹部で党員資格停止1年の処分を受けた下村博文元文部科学相（70）が会場入りすると、客席の一部からブーイングが起きた。 「不記載が5年間で476万円あった。『裏金』作りではなく収支報告でしっかりとやっている。不信感があるので、全額寄付をして、自分なりにけじめをつけていきたい」。下村氏は討論会で、こう説明した。 当選9回。政調会長など党の要職も担ってきたが、逆風に苦しむ。下村氏と20年以上の付き合いがあるという区内でそば店を営む女性は「先月、店に来たときも隣のお客さんに頭を下げていた」と振り返る。 「当選すれば『みそぎ』が済んだといえるか」。討論会で「〇×」形式の問いに、下村氏だけが「〇」の札を上げると、会場からは「えー」という声が上がった。 討論会に参加した板橋区の無職、飯島弘さん（80）は「（不祥事について）もっとはっきり話してくれるかと思ったが、物足りなかった。首相になるかもしれないところまで上り詰めた人なのに残念だ」と語った。 ■平沢氏「衆議院をクビになった」 「先日、衆議院をクビになりまして」。東京17区にある葛飾区のホールで開かれた高齢者慰安会に駆け付けたのは、1817万円の不記載があった旧二階派（志帥会）の平沢勝栄元復興相（79）。ユーモアを交えた挨拶（あいさつ）で参加者の笑いを誘い、拍手を送られた。 非公認の見通しとなった7日にX（旧ツイッター）でおわびしたが、「決定プロセスには理解に苦しむものが多々ある」と不満も表明した。