青山学院、桜美林に4-1快勝「目指せ西が丘」
第103回全国高校サッカー選手権東京予選の1次予選は9月15日、都内12会場で各ブロックの決勝28試合が行われた。 【フォトギャラリー】青山学院 vs 桜美林 第19組は前回大会の2次トーナメントA組でベスト8入りした青山学院が、桜美林を4-1で下し、危なげなく2次トーナメント進出を果たした。 4-2-3-1の青山学院は、両サイドからスピーディーに進出しては1対1の勝負を仕掛け、鋭いクロスを配給した。トップ下のMF中楯颯志(3年)が良質のキックからシュートとパスで攻めの一翼を担えば、右MF西田聖空(3年)は抜群の脚力を生かしてアタック。それほど大きなチャンスはなかったものの、試合の序盤から主導権を握った。 前半20分、左MF西村陽和(1年)の左クロスをFW中原佑太(3年)がダイビングヘッドで合わせたが、わずかに左へ外れて先制機を逃した。しかし26分、中楯がゴール正面から蹴り込んで先手を取ると、30分には23メートル付近で左FKを獲得。ボランチ千明祐輝(3年)が、相手GKが捕球し損ねるほどパンチ力満点の右足シュートを放った。 目黒日大との2回戦を2-1で制して決勝に進んだ桜美林は、4-4-2の布陣を編成し外と中を上手に使い分けて攻めた。前半25分にボランチ高橋義樹(2年)が、威力のある左足ミドルシュートを打ったが、枠を捕らえられなかった。 前半は青山学院がやや押し気味に進めながらも、1-0のきん差で折り返した。 しかし後半は青山学院が攻撃力の高さを発揮し、3得点して試合の大勢を決める。 15分の決勝点はセットプレーからだった。先制点を挙げた中楯が右CKから直接ゴールを狙い、これがファーポストに吸い込まれたのだ。 5分後の3点目は西田の快足がものをいった。相手DFのパスを猛然とダッシュして奪い取ると、GKとの1対1を冷静に沈めてリードを広げた。「パススピードが緩かったので、瞬時に取れると思って走り出しました」と西田。中学時代はサッカー部ではなく、陸上部で百メートルと走り幅跳びが専門だったとあり、そのスプリント力が生きた格好だ。 西田は30分に左サイドから軽やかなドリブルで持ち運ぶと、相手DFに倒されて左45度、24メートル付近でFKを獲得。「千明も狙える力は十分にあるのですが、僕にボールを渡してくれたんです。GKがニアを警戒していたので、思い切ってファーポストに蹴ったら決まったのでうれしかった」と背番号10は大喜びした。 2年生が8人先発した桜美林はFW一本鎗駿佑(2年)が、何度も相手ゴール前に顔を出しシュートチャンスをうかがったが、なかなか決定機を築けなかった。 そんな戦況下の26分、ボランチの杉浦巧真(2年)が左22メートルからのFKを直接狙い、右ポストに当たったこぼれ球を主将のCB今井貴琥(3年)が蹴り込んで1点を返した。しかし反撃もここまでで、武蔵に敗れた昨年と同じく1次トーナメント決勝で敗退した。 チームに携わって20年目を迎えた青山学院・坂本圭哉監督は、「去年のメンバーが5人残っているので、今年はワンランク上の戦いを目指してきました。特にここ数カ月は得点力アップを狙い、攻めの強化に力を注ぎました」と説明する。マイボールを大切に扱い、スピードや技術など個性を生かしたやり方でゴールを狙うのが特長だ。 前回大会は2次トーナメントAブロックで8強入りしたが、準々決勝では國學院久我山に0-6と完敗。坂本監督は「今年はもうひとつ上に行こう、というのが合言葉。大昔は選手権出場歴もありますが、昨年のベスト8が事実上の最高成績なので、何とか更新したいですね」と目標を口にした。 青山学院は出場校数が16校と20校だった1960年代に2度、全国選手権の東京代表になっている。 3試合で5得点した西田は、「1次予選も自分のゴールで勝てた試合があったので、2次も得点して勝利に貢献したい。“目指せ西が丘”です」と、準決勝と決勝が行われると思われる味の素フィールド西が丘での試合を夢見ていた。 (文・写真=河野正)