ライオネス飛鳥『極悪女王』で自身を演じた剛力彩芽のプロ意識を称賛「あのシーンもすごいんですよ。本当にそっくりだったんです」
『極悪女王』で印象的なベッドの裏の落書きのシーンは本当?
──ドラマに出てきた、ベッドの裏の落書きはライオネスさんもされていたのですか? 「自分たちの時代も、もっと若手の子の時代も毎日巡業に出ていたので、ほぼ寮で寝ることがなかった。だからドラマで描かれているような、ベッドの裏に選手の名前を書くのは、自分はやっていないです(笑)。でも後輩たちのそういったエピソードを聞いて、ドラマに取り入れたのではないかなって思います」 ──当時は後楽園ホールの二階で立ち見客もすごい人数でしたよね。 「あれは、消防法を破っちゃっていますよね。昭和の時代は、マッハ文朱さんやビューティーペアが登場して、観客が“うわー”ってなるような、黄色い声援が飛び交った。その後、少し低迷した時期を経て、クラッシュギャルズや極悪同盟の出現でまた、全女の人気が盛り返した。ちょうどバブルが残っていたので、時代も良くて会社自体も元気だったし、だから、スター選手を育成することができた。業界全体を盛り上げる力があったのかなって思います。 ただ、90年代に入って、プロレスとは関係のない人たちが会社に関わるようになってきた。やれ不動産だ、株だというような投資話を持ってきて、そこに会社が乗ってしまって26億ほどの借金をつくってしまった。それでも団体に残っていたアジャ・コングや、井上京子とかは、本当にプロレスが好きだという気持ちだけで、会社の再建のために戦っていましたよね。だから『極悪女王』で描かれている世界って、本当に良い時代の女子プロレスだったと思います」 ドラマでも描かれていたのは、上の世代を敬う姿勢だ。規律が厳しかったという全女時代は、飛鳥さんにとっては大事な期間だったという。 「ドラマを観て、上下関係を良い風に受け止められてくれたらいいなって思いますね。いまは、先輩と後輩、上司と部下という関係が変わってきていますよね。パワハラみたいのは良くないけれど、上の人が下の世代に気をつかいすぎるのはちょっと違うと感じています。優しくしないと辞めてしまうと聞くけれど、そういう風に辞めていった子が上司になったときに、次はどうなるのかなって考えてしまう。そうしたら、きちんと職業として成り立つのか心配になるというか。 だから私たちは本当に、上下関係をしっかり学ばせてもらって良かったって思います。先輩の世話をしながらいろいろなことを教えてもらったのは、すごい財産をいただいたなって思います」