「DV被害に悩んでいませんか」。困ったら今すぐ相談窓口へ連絡を/大阪
配偶者や恋人など、親密な関係にある相手からの暴力であるドメスティック・バイオレンス(DV)が増加して社会問題になっている中、大阪市では2011年8月に「大阪市配偶者暴力相談支援センター」を設置し、被害者の迅速で安全な保護に取り組んでいる。被害者に危険が迫っている場合もあり、担当部署では「DV被害で困っていたら、今すぐ連絡してください」と呼びかけている。
初めての相談時に保護施設へ緊急入所も
DV被害に関する相談は、大阪市では市配偶者暴力相談支援センターの他、各区役所保健福祉センター、クレオ大阪で受け付けている。配偶者などからの暴力を防止し、被害者を保護するDV防止法に基づき、相談支援サポートを実施している。 暴力の形態は、なぐる、けるなどの身体的暴力ばかりではなく、口汚くののしるなどの精神的暴力、性的暴力、経済的暴力、社会的暴力など多岐におよぶ。市の相談窓口に寄せられた相談は、11年度の2160件から、13年度には2704件へ増加した。 市では相談を受けた時点で、被害者が危険が切迫していると認められた場合、相談者の安全を守るため、保護施設へ入所できるよう調整する。 たとえば、初めて相談に訪れた相談者であっても、相談を終えて帰宅すると危険な状況に陥りかねないと判断した場合、区役所の会議室などで相談者の安全を一時確保。その場から保護施設へ連絡を取り、相談者のすみやかな入所を支援するケースがある。一刻の予断も許さない深刻な被害が少なくない。
相談者の移動に安全管理人が同行
また、同センターでは、相談者が保護命令の申し立てや法制度を利用するための支援を行っている。保護命令とは、DV被害者が配偶者などから身体的暴力や生命に対する脅迫を受け、今後も重大な危害を受ける恐れがある場合、裁判所が被害者からの申し立てにより、配偶者などに出す命令のこと。加害者に対し、6か月間のつきまとい、電話やメールの禁止などを命ずることができる。 12年度の保護命令数は全国で2482件、大阪府で225件だった。DV被害者が保護施設に入所している間、被害届の提出、保護命令の申し立て、今後の人生設計などに関して、保護施設のカウンセラーや区役所のケースワーカーがきめこまかく対応する。 さらに被害者が保護命令申し立てや施設入所のため移動する際、加害者の待ち伏せなどを想定し、移動中の被害者の安全を確保するため、同センターの安全管理人が同行するケースがあるという。 同センターを運営する市民局ダイバーシティ推進室の辻井善寛男女共同参画課長代理は「DVが犯罪となる行為を含む重大な人権侵害であることが、近年ようやく浸透しつつあります。DV被害で苦しんでいる場合、ひとりで悩まないでください。行政にはいろいろな相談窓口がありますから、困ったことがあれば、今すぐご一報ください」と呼びかけている。 同センターの相談受付時間は午前9時30分から午後5時まで(土曜・日曜・祝日および年末年始は休み)。相談や問い合わせは同センターのDV専門相談電話(06・4305・0100)まで。夜間など、同センターや各区役所保健福祉センターの対応時間以外は、もよりの警察署へ。 (文責 岡村雅之/関西ライター名鑑)