「コイツらすごくなるんだろうな…」石川祐希の代表デビューを知る永野健がしみじみ「笑顔かわいかったなー」“最強の仲間”を得たキャプテンの10年
B代表で“調整”のはずが…
石川と高橋藍はA代表に合流するまでの期間、B代表で調整していた。だがそれは“調整”という代物ではなかった。 B代表にあっても2人は全開。特に石川は、ボールゲームでもゲーム練習でも常に声を出し、A代表となんら変わらずチームの中心にいた。 B代表の主将を務めるセッターの大宅真樹はこう語っていた。 「2人が最初B代表で一緒にやると聞いた時、正直、どうかな? という気持ちがちょっとありました。モチベーションはどうなんだろうな? とか、もし怪我させたらどうしようとか。まあ調整ぐらいな感じだろうと思っていたので。でもいざやってみると、そんなそぶりは一切ない。1点に対して本気で喜ぶし、ボールを落とさない。僕もA代表で一緒にやっていた時の祐希と藍の姿勢で、ここでもやってくれるので、僕も毎日刺激をもらっています。 僕もここではキャプテンなので、祐希のいいところを真似しようと思っていますけど、『あ、負けてるわ』と思った。人間的に。同い年ですけど本当に尊敬できるし、“雲の上の存在”は言い過ぎですけど(笑)、そういう目で見てしまいます」
無意識にまいた未来につながる種
B代表のコーチを務める永野健(たけし)も石川の姿勢に感謝していた。「B代表だろうが関係なく、6対6の練習中には、相手の癖を見て『こういう時は打ってこないよ』『プッシュ多いよ』とコミュニケーションを一番取っているし、リーダーシップを発揮している。ありがたいですよ。若い選手にとっていい経験ですから。 石川と藍がコートを分かれてバチバチやり合う姿も、『やっぱりこれだけ高い意識でやってるんだ』と周りの選手の刺激になるし、あとあと絶対響いてくる。2人が一生懸命やってくれているからそれが見えるわけで。彼らが“調整”というイメージでやっていたらそれは見られないと思う。彼らの本気度を感じます」 石川自身は「別にBだからAだからといって僕のやることは変わらないので、いつも通りの自分の雰囲気でやっていました」と話したが、無意識のうちに未来につながる種をまいていた。 スパイク練習の1本1本にも石川は工夫や意識の高さが見えると、永野は感心する。 「ブロックがないスパイク練習では、若い子たちはみんな下に打ち落すんです。でも石川は絶対に落とさない。長く打って、コートエンドやアウトになるぐらい」 常に相手の高いブロックをイメージしながら打っているから、そういう軌道になる。 「それが彼が世界で戦っている強みなのかなと。そういうところで世界一になっているのかなと感じましたね」と感慨深げに語った。 石川が2014年に中央大学1年で日本代表にデビューした時、永野は代表のリベロだった。 「当時からスパイクの幅や思い切りのよさ、動じない気持ちというのは持っていましたけど、今ではもう本当に引き出しの量、柔軟性がすごい。何より一番変わったのはリーダーシップでしょうね」と世界的なアウトサイドに成長した姿に目を細める。 石川が代表に合流して間もない頃、海外遠征で同室になったことがあるという。当時、石川は19歳、永野は貫禄たっぷりの29歳。 「あの笑顔はかわいかったですよ。今はなんかちょっとあいつも大人になってしまったけど。あの当時の笑顔がかわいかったなー」と顔をくしゃくしゃにして懐かしむ。 「あの時はお互いにあまり喋ってなかったですね。『石川どお? 大丈夫? 』って、それぐらい(苦笑)。 あいつ当時は飯食えなかったんですよ、海外で。たぶん合わなくて。だからゆで卵の白身ばっか食ってました。当時から体のことを考えていたからだと思うんですけど。それはめちゃくちゃ覚えてますね(笑)」
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