【阪神】ドラ1伊原陵人「負けられません 勝つまでは」原点の地で決意新た「本当に鍛えられた」
阪神ドラフト1位・NTT西日本伊原陵人(たかと)投手(24)が、不屈の闘志でルーキーイヤーを走り抜ける。3日、奈良・香芝市の母校、大商大グラウンドで自主トレを公開。ヤクルト大西とキャッチボールを行うなど汗を流した。プロ入りに向け、グラブに入れた刺しゅうは「負けられません 勝つまでは」。大学時代にドラフト指名漏れも経験した原点の野球場で決意を新たにした。即戦力左腕が大商大イズムを胸に、目標の新人王に突き進む。 ◇ ◇ ◇ 伊原は覚悟を胸に、自主トレ場所を決めた。選んだのは4年間、苦楽を味わった母校・大商大グラウンド。ランニングやキャッチボールで汗を流し、原点の野球場で表情を引き締めた。 「とにかく『勝ちたい』とか、『負けたくない』。そういう気持ちを強く持てたのは、この大学。身が引き締まるというか、もっとしっかり頑張らないといけないと思った」 負けず嫌いを自負する左腕。グラブにも「負けられません 勝つまでは」の刺しゅうを刻んだ。自身の座右の銘であり、部の選手やOBが代々、大切にしてきた言葉だ。社会人時代に入れていたものを、プロ仕様の道具にも刻んだ。「グラブには全部入れました。監督さんからも『そういう気持ちを忘れたらダメだ』というのは言われました」。 プロ注目だった大商大4年時にドラフト指名漏れを経験。悔しさをバネにNTT西日本で自分を磨き、最短でプロ入りの夢をかなえた。刺しゅう通り、壁にぶつかっても何度もはい上がってきた野球人生。強さの根底には大学時代に鍛えられた不屈の心がある。 「高校の時の自分と、この大学を経験してからの自分では大きく違う。精神的な部分と身体的にもそうですけど。中身の部分の強さみたいなところも、ここで本当に鍛えられた。この大学が、かなり今の自分を作っていると思います」 同大学の富山陽一監督(60)からかけられる言葉は今も昔も変わらず「一生懸命やれ」。4年間で流した汗や涙は、阪神にドラフト1位指名される血肉となった。骨身に染み渡る“大商大魂”が、プロの世界でも自らを支える武器となる。 1月からは入寮や新人合同自主トレなど、いよいよプロとしての日々が本格化する。この日はOBも一斉に新年のあいさつに訪れ、3学年上のヤクルト大西とキャッチボールを行った。新人王を目標に掲げる1年目。そのためにも細心の注意を払い、万全のキャンプインを目指す。 「とにかくケガなく、じっくり体をつくって。投げるのも徐々に上げていければ、キャンプでいい形に入れるかなと。そこだけ意識して頑張りたい」 心は熱く、頭は冷静に。不屈の即戦力左腕が25年の主役になる。【波部俊之介】 ◆伊原陵人(いはら・たかと)2000年(平12)8月7日生まれ、奈良県出身。八木中では軟式野球部に所属。智弁学園3年春に甲子園出場。大商大4年時に全日本大学選手権8強、神宮大会4強。NTT西日本を経て、24年ドラフト1位で阪神から指名された。契約金1億円、年俸1600万円、出来高払いは3000万円(金額は推定)。背番号18。座右の銘は「負けられません、勝つまでは」「初志貫徹」。170センチ、77キロ。左投げ左打ち。 ○…大商大・富山監督が教え子の伊原にエールを送った。阪神小野寺やヤクルト大西ら、多くのOBが新年のあいさつに訪れたこの日。伊原とも言葉を交わした。「とりあえず頑張ってくれたら。横着さが出なければ、いけると思う」と期待を込めた。