「やり切らずに逃げた」という劣等感を乗り越えて SASUKE最強女子・大嶋あやのが“マルチアスリート”になるまで
人気番組「SASUKE」において、2022年に日本人女性として24年ぶりに1stステージクリアを達成した大嶋あやの。その身体能力の高さで“SASUKE史上No.1女子”との呼び声も高い存在だ。 【トーク動画(本人出演)】人生最大のピンチと乗り越えた思考を語る 昨日25日放送の「SASUKE2024」では1stステージ・ツインダイヤにクリアを阻まれたが、悔しさを糧にさらなる成長を誓っている。
新体操、ソフトボール、クライミングとさまざまな競技に取り組んできた彼女は、現在も多彩な競技にトライするマルチアスリート。海外ではシーズンごとに複数のスポーツに取り組むことも多い一方で、日本ではひとつの競技に集中するケースが主流だろう。そうした風潮もあり、多彩な競技キャリアに引け目を感じることもあったと言う。 「いろいろなスポーツをやってきたことに対して、昔は『やり切らずに逃げた』というコンプレックスもありました。日本の雰囲気として、ひとつのことをやり抜く、突き詰めるのが美徳とされていると感じていましたから」 そんな考えに変化が訪れたのは社会人になってから。新卒で入った信用金庫を退職し、スピードクライミング選手としてオリンピックを目指す最中で、キッズパーソナルトレーナーとしても働くようになった。今までとは違う環境で自分を高めたり、仕事を通じて子どもに関わったりする中で、自分の意見を言語化する機会が増えたのだ。そうした日々を過ごす中で考え方も変わってきた。
あくまで叶えたいのは「自分のなりたい姿」に近づくこと。さまざまな競技に取り組んでいたとしても、それらはすべて目指す先につながっている。それに気づいたからこそ、今の大嶋は“マルチアスリート”として胸を張って行動できている。 「大人になって振り返ると、いろいろなことをやってきてよかったと感じています。無駄なことはなかったですし、それらがあったから自分がいると思えるようになりました。今後はかつての自分と同じ思いを抱えている人の目指す存在になれたらうれしいです」 クライミングでのパリ五輪出場は逃したものの、今年10月には障害物レース「オブスタクルスポーツ」で初代日本女王の栄冠を手にした。同競技は海外版SASUKE「Ninja Warriors」を参考に誕生したレースであり、2028年のロサンゼルス五輪の新種目にも採用が決まっている(近代五種の馬術に変わって採用)。積み上げてきた経験、高めてきたフィジカルが活かせる新たなフィールドだ。 SASUKE、クライミング、そしてオブスタクルスポーツ。多彩な舞台で活躍する大嶋は、今後も誇りを持ってマルチアスリートとしての挑戦を続けていく。
取材・文/森本雄大 写真提供/大嶋あやの