現代の人はお尻を拭き過ぎている!? 専門家に聞く「正しいトイレの仕方」【便編】
ストレスが便秘に大きな影響を与える
それでも便の状態が悪い人は、食生活以外や生活リズム以外に問題があるという。 それはストレスが原因ということが多いです。仕事や家庭、はたまた便が出ないことがストレスになることで、交感神経が活発になってしまって便が出ないのです。 なぜ、交感神経が活発になることで便が出ないかというと、いい例があります。サバンナで暮らすシマウマは、天敵であるライオンに追いかけられている時、大きなストレスを感じています。こんな時にのんきに便を出していたら、ライオンに食べられちゃいますよね。ですから、ストレスがある=交感神経が活発な状態では、便を出すために必要な大腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)は起きません。 逆に、敵に狙われていない、ストレスのない環境では、副交感神経(交感神経と反対の神経)が活発になっています。副交感神経が活発な状態では、大腸は良く動くので、便が出ます。 人間の世界でも同じことは言えます。仕事の日は便が全然出ないけれど、仕事のないリラックスできる日は何回か便が出ますという方は本当に多いです。それで便がするっと出るなら問題ありませんが、硬くて出しづらいなどの問題があると治療が必要です。日々様々な生活の中で感じるストレスを減らすのは難しいこと。なので、便秘が深刻な患者さんにはお薬の力で改善してもらっています。
最近では若い子にも便秘が増えている、その理由は?
最近では若年層の便秘も増えているという。その理由は? 若い子が便秘の相談に来ることも少なくありません。理由は様々ですが、問診をしていると食事量の少ない方が多いのが気になりますね。 食べたもののカスが便になります。食事が少なく、腸の中に蓄積されるものが少なければ、排便の回数も、量も減って当然です。排便の回数が少ないと、大腸の中に便が長く滞在するので、便から水分が奪われすぎて固い便になってしまうことも。 逆に出る便の量が少なくて、排便の後にすっきりした感じがなく、便秘だと思って下剤をたくさん使って、下痢で便を出して満足している若い子もいて、それは間違いだと指摘しています。 ダイエットのために朝ごはんをスムージーだけにする方も多いですが、私の見解としてはしっかり三食食べて、排便を促すことが健康だと考えます。 いかがでしたか? 肛門は思っている以上にデリケートな部分。便秘や下痢が長続きすることで、いぼ痔やきれ痔など痔の原因になってしまうことも。排便の時の拭き方や食事を見直して、おしりに優しい生活を心掛けて。