「休むことに罪悪感を抱く日本人」と「長期バカンスが当然のフランス人」の違い
有給をとるのにも罪悪感を感じ、貴重な休みの日には「家にいてはもったいない」と頑張って外出する...。休みにくい日本の職場では、そのように感じている人も多いのではないでしょうか? 対して長期のバカンスをとるのが当たり前のフランスでは、休暇をとることについてどのように考えられているのでしょうか。 フランス人がマルシェで野菜を買う時に「値段よりも重視すること」 前田康二郎さんが、日本にも長く在住した経験を持つフランス人夫妻、パスカル・フロリさんとセドリック・フロリさんに学んだ休み方について書籍『改定新版 自分らしくはたらく手帳』よりご紹介します。 ※本稿は、パスカル・フロリ、セドリック・フロリ、前田康二郎著『改定新版 自分らしくはたらく手帳』(クロスメディア・パブリッシング)を一部抜粋・編集したものです。
休暇はもっとよい仕事をするための「手段」
休むことに罪悪感を持つという人がいます。それは、自分の意志ではなく、周囲の環境から何かしらの影響を受けているのだと思います。たとえば上司から「24時間365日、仕事のことを意識してください」と言われると、「休むことはよくない」と間接的に言っているように聞こえることでしょう。 私も会社員時代、部下には「土日のどちらか半日は必ず身体を休めて、体調を崩さないようにしてください」と言っていたことがあります。けれどフロリさんご夫妻の生き方を見ていると、それもフランス式に言えば「余計なお世話」「そこまで言わないと自己管理できない人をなぜ採用したのですか」ということになります。 日本の場合だと、もし部下に何かミスやトラブルがあると、上司が責任をとることが多いので、「あなたがきちんとやってくれないと、私も困る」という意識で、口うるさく言うのだと思います。 一方フランスでは、自分の業務は自己責任の範囲で負うのだから、休み方も本人の自己管理のもとに行ってください、という考え方です。その代わり、ミスやトラブルがあっても、自分の責任になりますよ、ということなのだと思います。 そう考えると、日本のはたらき方にはあまりなく、フランスのはたらき方にはある単語は「自己管理(セルフコントロール)」という言葉になると思います。「自己管理」という観点からすると、当然「休息」も、自分でどのようにコントロールするのかを考えなければいけません。 自分でよい仕事をするためにはどのくらい休まなければいけないのか、あるいはどれくらいまでだったら悪い評価にならない範囲で休めるのか、ということをそれぞれの「自分の頭で」考えることになります。 とはいえ、もし休むことに罪悪感があるというのであれば、「休みは、いつもの同じ環境から少し離れて状況を客観視できる機会」ととらえてはどうでしょうか。仕事が好きで凝りすぎてしまい、非効率で生産性が落ちているということがあったら、偏っていた部分を冷静に見つめ直せるかもしれません。