米大統領選、激戦7州有権者の投票行動を探る-異なる経済状況が鍵
白人の減少が目立つのが、ブルーウォールとして知られる3州。22年から23年にかけて、白人の人口はペンシルベニア州で19万4000人、ミシガン州で9万1000人、ウィスコンシン州で3万5000人それぞれ減った。
こうした人口動態は、新型コロナ禍からの回復でばらつきが出ていることにも関連している。各州内でも大きな格差が生じている。ペンシルベニア州では、フィラデルフィアなど大都市圏やその郊外では回復が早かった一方、州人口の40%が住む各郡では、22年末までに経済が新型コロナ禍前の水準に回復していなかった。
回復の遅さは人口減少に付随することが多く、ミシガン州とウィスコンシン州でも見られる傾向だ。
そうした郡の多くは2020年の選挙でトランプ氏が制しており、今回も同じ結果となる公算が大きい。
激戦州7州の一部は、米国の他の地域よりも経済的に苦しい状況に直面している。米失業率とインフレ率を組み合わせた「悲惨指数」では、 ミシガン、ネバダ、ペンシルベニア各州が全米でも高い水準にある。
アリゾナ州とネバダ州では雇用が急増している。両州では過去5年で雇用が10%余り増えた。しかし、ネバダ州は失業率も高い水準にある。失業率の上昇は必ずしも解雇の増加を意味するわけではない。また、人口と労働力が地域経済の雇用創出能力を上回るペースで増加しているために失業率が上昇する場合もある。
それでも、10月16-20日にブルームバーグとモーニング・コンサルトが実施した世論調査では、ネバダ州の有権者の約7割は経済が悪い方向に進んでいると回答。激戦州7州の平均値68%を上回った。
失業率が全米平均を上回るのはネバダ州だけではない。ミシガン州の9月の失業率は4.5%で、全米の4.1%よりも高かった。
住宅購入コストの高騰は多くの有権者にとって最大の関心事になっている。中間層としての生活がもはや実現不可能と感じる国民が増えており、アメリカン・ドリームは再考を余儀なくされている。