「新築住宅」が不人気に…「人口激減」と「晩婚化」が住宅業界に最後のトドメを刺すか
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
晩婚化で新築より中古に目が向く人が増える
新築住宅に関しては晩婚化が押し下げ要因になりそうである。 住宅はローンを組んで購入する人が大半だ。月々の返済額を考慮すれば若いほうがローンを組みやすい。 ところが、住宅取得年齢が晩婚化で40代半ば以降となれば、月々の返済額が大きくなるので取得する物件の価格の方を抑え込みたいという人の割合が相対的に増える。新設住宅よりもリーズナブルな中古住宅へと目が向く人が増えることとなるだろう。 実は、これまでも新築住宅の着工戸数は多少の変遷を重ねながら減少カーブを描いてきていた。30代前半の減少に晩婚化の影響が加わって、今後は新築住宅の取得者はさらに下落の道をたどることになるだろう。 野村総合研究所の推計(2022年)は、新設住宅の着工戸数は2021年度の87万戸から、2030年度は70万戸、2040年度には49万戸へと減少していくと見込んでいる。 2030年度の利用関係別の推計は、持ち家(自分が居住する目的で建築する物件)25万戸、分譲住宅(建て売りまたは分譲目的で建築する物件)17万戸、給与住宅を含む貸家(賃貸する目的で建築する物件)28万戸だ。新築といっても、自宅として建てる人は案外少ない印象である。 一方、野村総研は、中古住宅の流通量も予測しているが、2018年の16万戸から、2030年に19万戸、2040年には20万戸へとゆるやかだが増加するとの予測だ。 ただし、晩婚化で増加すると言っても「横ばい」と言っていいほどの増加率である。新築住宅の着工戸数の目減り分を補うほどの規模とはならないのは、住宅を購入し始める30代~40代の減り方が大きいためである。新築か中古かの区別とは関係なく、住宅取得の総数が全体的に減っていく。