キャリー取引に「夢中」のトレーダー、円安巡り日本当局との対決迫る
(ブルームバーグ): 日本の金利が上昇しても低迷する円相場の支えにはほとんどならないだろうと、トレーダーらはみている。外国為替取引の中で最もリターンの大きい取引の一つへの需要がなくならないためだ。
円は、いわゆるキャリートレードの一環として売られるマクロ資産の一つであり続けている。ほとんどゼロの金利で借りた円で高金利のドルを買い入れ、5%を超えるリターンを得るという戦略だ。
円安・ドル高によってキャリートレードの魅力は増しており、過去1年間のトータルリターンは18%に達している。
こうした取引は、行き過ぎに見える円安進行に歯止めをかけようと躍起になっているとみられる日本当局との激しい攻防に向かっている可能性がある。
日本銀行が次に開く金融政策決定会合は2週間余り先だが、一部の市場関係者はすでに、こうしたキャリー戦略の人気が続く限り、円相場は34年ぶりの安値の1ドル=160円17銭付近まで下落するリスクがあると指摘している。
「人々はキャリーに夢中だ。 仮に6月に日銀が利上げをしたとしても、キャリー取引はなくならないため、市場は円ロングに非常に消極的だろう」と野村インターナショナルのG10スポットトレーディング責任者アントニー・フォスター氏(ロンドン在勤)は述べた。
同社によれば、日銀は6月に政策金利を小幅に引き上げた後、年内にさらに利上げする見込み。
円は今年に入り約10%値下がり。より高利回りの通貨を求める投資家の円売りで、円はG10通貨の中で最も大きく下げている。円が2012年の半分に近い水準で取引される中で、日本の当局者からは介入の警告が相次いでいる。4月の終わりと5月初めに実際に市場介入したとみられている。
円相場は1ドル=157円付近となっている。スワップ市場ではすでに、今年中に日銀がさらに27ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げをすると織り込んでおり、早ければ7月にも10bpの利上げが実施される確率は90%となっている。