自宅療養した医師が実感する新型コロナ「有効な家庭内対策」 - ふじみの救急病院 鹿野晃院長
人生で一、二を争うつらさだった――。新型コロナ感染拡大の初期から奮闘を続ける埼玉県のふじみの救急病院。院長の鹿野晃医師は、今年のはじめ新型コロナに感染しましたが、基礎疾患もない自分が病床を埋めるわけにはいかないと自宅療養を選びました。家族の支えのもと治療に専念するなかで見えてきた有効な家庭内対策とは。そして罹患経験のある医師の視点で、容態の「急変」や「もし自分が感染したら」に答えていただきました。(Yahoo!ニュースVoice編集部)
感染 - 最初は風邪のひきはじめのような症状
--どのような経路で感染されたとお考えですか? 鹿野院長: 最初はまさかと思ったんですが、感染した時期に人工呼吸器の一種で、患者さんの負担の少ない、鼻から酸素を大量に流してあげるものを導入した直後で、それに関わった看護師3人と私も陽性になりました。そちらから感染したであろうと結論に至り、運用を止めたところ、新規感染者はぱったりとなくなりました。 --症状について教えてください。 鹿野院長: 最初は普段の風邪のひき始めと全く変わらない症状でした。よく言われるような味覚障害や嗅覚障害もなく。念の為検査したところ、最初のPCR検査は陰性。やはり普通の風邪だよねとなりました。その後、たまたま3連休だったので家で休んでいたのですが、症状が強くなってきました。当院ではもともと週明けに定期的なPCR検査をやっているので、連休明けに出勤して、患者さんの診察が始まる前に検査したところ陽性反応が出ました。 陽性になった夕方ぐらいからかなり症状が強くなって、高熱に加え、全身にまとわりつくような悪寒、倦怠感、頭痛、関節痛が続き、人生の中でも一、二を争うつらい症状になりました。
色付きビニールテープで家の中を「ゾーニング」
陽性が判明した夜から鹿野院長の症状は次第に悪化しましたが、肺炎やその他の重篤な症状が見られず基礎疾患もないため、自宅療養を続けることを選択。家族は感染を避けながら支援を開始し、それにともない生活は一変したそうです。 --ご家族に感染は広がらなかったのですか? 鹿野院長: そうですね、最初1月12日に私が陽性になった時に、家族も全員PCR検査を受けまして、全員陰性でした。そこからのスタートだったので、うつさないようにいろいろと工夫をしました。 私が高熱でフラフラしていても、妻が機転を利かせて家の中をゾーニングしてくれました。私の部屋は赤。小さな子どもが3人いますので、間違って入らないよう、目で見て危ない、触っちゃいけないと分かるようにドアノブにも赤いテープで四角く周りを囲いました。 洗面所や脱衣所などは、ばったり会ったりする可能性があるので、そこに入る場合は必ずお互いマスクを着用。出会ってしまった場合はお互い引き返す。そして時間差をつけて使用する。リビングなど、家族が過ごすグリーンゾーンは私はいっさい入らないようにしました。