「ポイ捨て」に「意図しない流出」藤前干潟で漂着ごみの実態調査 種類別の把握が海洋ごみ対策の一歩に
―――今回の藤前干潟の調査ではどのようなことがわかりますか 「ペットボトルがめちゃくちゃ多いというのは間違いないです」 ―――結果を受けて、どのような対策が考えられますか 「ペットボトルに関連した企業にごみの現状を伝えて、一緒に対策をしていくことが将来的には必要なのかもしれないです。ただ、ペットボトルだけが悪者というわけではなく、いろいろなプラスチック製品を対策しなければならないと思うんです。今回はペットボトル、食品容器、レジ袋に着目しましたが、他の場所ではペットボトル以外のごみが多い可能性もあるので」
伊勢湾の防波堤「藤前干潟」 調査や清掃活動の役割とは
調査に参加した四日市大学環境情報学部の千葉賢教授は、藤前干潟周辺で調査や清掃活動をすることは、伊勢湾の海洋ごみ問題を解決するために大きな意味があると話します。 ―――伊勢湾の海洋ごみ問題とはなんですか 「伊勢湾の海洋ごみは流木などの自然ごみと、いわゆる人間の生活で出てくる人工ごみです。プラスチックごみであるとか缶、瓶であるとか、生活から出てくるごみが我々の生活圏から海に流れ出て、伊勢湾の海岸に漂流して環境に影響を与えているという。これが伊勢湾にとっての海洋ごみ問題です」
―――藤前干潟での調査や清掃活動が果たす役割はどのようなものですか 陸から出てきて、海に出るところのちょうど境界の河口部ですよね。ごみが陸から出てきて海に出る前に、どれぐらいごみがあるのか、溜まっているのか、ということに関係していて、特にこの庄内川の河口は葦が生えているので、植物が生えているとそこにごみが引っかかるんです。 干潟はごみの防波堤になっているので、調査やクリーン大作戦でごみを取って分析することで、伊勢湾に出るごみを減らせる可能性が高く、非常に役割があるなと思います ―――藤前干潟のごみを減らすために必要な対策はなんですか 「ポイ捨てごみ」「不法投棄」「意図しない流出ごみ」。3つの対策がそれぞれ必要です。 「ポイ捨てごみ」は学校教育や市民の意識喚起の活動が必要です。特に車からのポイ捨てごみを社会問題として大きく取り上げていただくことも重要だと考えます。「不法投棄」は統計的には減ってきていますが、廃棄物処理法に基づく罰則で取り締まるのが適当と考えています。「意図しない流出ごみ」は市町村や自治会に呼び掛けて、ごみステーションの管理を徹底的に行うのが適切です。
OECDなどの調査によると、陸から海へ流出する海洋ごみは「廃棄物の不適切な管理による漏洩」と「ポイ捨てごみ」の2つだと言われていますが、日本では河川や河川敷の「ポイ捨てごみ」が多いと言われています。調査や清掃活動を続けることで河川のごみの実態を把握して、市民や企業に意識喚起を行うことが、海洋ごみの発生抑制に繋がっていくと考えられています。 ※この記事は、テレビ愛知と三重県、八千代エンジニヤリングよる共同企画です。
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