アマゾンのCMで注目 偉大な父をもつ、実力派俳優・北村有起哉の成長と葛藤
24年目にして初めて連ドラの主演
北村さんは1998年、24歳のときに映画と舞台でデビューした。現在までに出演した映画は42本、舞台は57本、テレビドラマは100作品を超える。 強い印象を残す役者で、複雑なキャラクターを任されることも多い。例えばNHKの朝ドラ『わろてんか』(2017年)では、弟弟子への嫉妬をこじらせた噺家の役をやり、同じNHKのドラマ『半径5メートル』(2021年)では、娘との関係に悩むトランスジェンダーの編集者の役を務めた。 今秋、キャリア24年目にして初めて連続ドラマの主演を果たした。『ムショぼけ』(朝日放送)は、14年ぶりに出所してきた元ヤクザが必死に生きようとする内容だ。舞台は兵庫県尼崎市で、共演にはよしもと所属の芸人も多い。
「(主演は)正直うれしかったです。どちらかというと脇でやりたい放題やってきたほうなので。いわゆる爪痕を残してやろうみたいな。ぼくは入念に準備するタイプではないんですが、その場所に立ったときに、ああしようこうしようとアイデアが出てきてしまう。『ムショぼけ』は出ずっぱりだったので、むしろやりすぎないように、ダイヤル調整していた感じですね」 同ドラマの企画プロデュースの藤井道人さんとは、藤井さんが監督の映画『新聞記者』(2019年)、『ヤクザと家族 The Family』(2021年)で現場をともにした。 「藤井さんと原作者の沖田臥竜さんが企画者としてぼくを指名してくださったみたいで。テレビ局との話し合いもあったと思いますよ。『それじゃ数字とれないよ』とか『誰?』とかさ。そういう現実的なところで、ドラマは制作されているはずですからね。だけど、『この役は北村さんしかいないよね』と思っていただいたんじゃないかと自分では思っています。『ヤクザ役もコメディーもいけるだろう』と。その気持ちに応えたいと思いました」
高校の文化祭での手応え
東京生まれ、東京育ち。高校2年のとき、文化祭の出し物で芝居をやった。ジャッキー・チェン映画の名場面をリミックスした娯楽作。北村さんは脚本・配役・演出を担当。ジャッキーの師匠の役で出演もした。