日本の防犯は時代遅れ! 犯罪から子どもを守るため、海外に学ぶ「危険な場所」の見分け方
海外では街づくりの段階で「入りやすく・見えにくい危険な場所」を減らしている
海外では、防犯の第一次責任は自治体にあります。そのため、防犯のための街づくりが徹底されています。 海外の公園といえば、緑豊かなイメージがあるかもしれませんが、ゾーニングがしっかりしているため、子どもが遊ぶエリアには樹木がないこともめずらしくありません。樹木があると見通しが悪くなるからです。また、ベンチが外向きに設置されていることも多く、見張りの役目を果たします。 このように、「犯罪機会論」が浸透している国では「犯罪者は場所を選んで犯行に及ぶので、入りやすく・見えにくい場所をなくそう」という街づくりが行われています。
親も子どもも身につけたい「景色解読力」
日本ではそういう発想で街づくりをしていないため、「入りやすく・見えにくい危険な場所」が街中にたくさんあります。 そのため、危ない場所を見分ける「景色解読力」をつけさせることが、子どもを犯罪から守ることにつながります。 「入りやすい場所」というのは、ガードレールのない道やフェンスのない公園のように、誰でも簡単に入ることができて、そこから簡単に出ていける場所だと前回お話ししました。 「見えにくい場所」というのは単に見通しの悪い場所という意味だけではありません。 まずは物理的に、人の目の届かない場所です。死角で遮られている場所以外にも、周りに民家のない田んぼ道なども、誰からも見てもらえないから「見えにくい場所」です。 また駅前やショッピングセンターの中など不特定多数の集まる場所も、人は多いですが、特定の子どもに関心を集中していないため、心理的に「見えにくい場所」です。同じように、手入れのされていない公園や不法投棄のゴミが放置されている空き地なども、その場所への無関心を連想させるので、心理的に「見えにくい場所」です。犯罪者に「犯罪を行っても見つからないだろう」という印象を持たせるからです。
「入りやすく・見えにくい危険な場所」の多い日本では「窓の数」を数えよう
「見えやすい場所=犯罪が起きにくい場所」の目安として、子どもにも一番わかりやすいのは窓の数です。私が子どもたちと一緒に地域安全マップを作るときにも、「360度周りを見渡して、窓はいくつ見える?」と聞いています。子どもたちは窓の数を数えて、「あそこには窓はあるけど、ずいぶん小さい窓だな。この窓は数に入れられないな」などと言いながら、その場所が危険かどうかを判断しています。
「うちの周りは住宅街ですが、共働きばかりなので昼間はみんないないんです。それだと危ないですか?」という質問もよく受けますが、それはほとんど関係ありません。犯罪者は家の中に人がいるかどうかまでは把握しておらず、窓さえあれば「目撃されるかもしれない」と思いますから。 さらに洗濯物が干してあると最高ですね。犯罪者は「洗濯物を取り込むために、誰かが出てくるかもしれない」と思うからです。