中国株は景気懸念から下落 ~アジア・マーケット動向の振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
中国<マクロ経済動向>
⇒需要不足を背景に低インフレ ◆弱い需要が続く 7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は3ヵ月連続で50割れとなった。需要不足が続いており、需要の代理変数である「新規受注」は3ヵ月連続で50割れとなった。一方、供給の代理変数である「生産」は5ヵ月連続で50超えであり、需給ギャップの拡大が続いている。そのため、「製品価格」も2ヵ月連続で50割れであり、利益圧迫の構図は続いているようだ。7月の非製造業PMIは50.2へ低下した。そのうち、サービス業PMIは50.0へ低下した。7月は夏季休暇シーズンであることを考慮すると、サービス業の停滞は顕著である。 ◆住宅価格の下落基調が続く 国家統計局が取りまとめている70都市の新築・中古住宅価格をみると、6月も新築・中古ともに引き続き下落した。住宅価格の下落基調が長期化することによって、家計部門の資産価値が目減りし、需要不足をもたらす構図が今後も続きそうだ。 政府は5月に入って、住宅在庫の削減策を打ち出した。国有企業が人民銀行の低利融資制度を利用し、購入した住宅在庫を低所得者向け住宅に転用するという内容だ。取引リスクは国有企業、不動産ディベロッパー、銀行、地方政府が負うことになっており、住宅価格を上昇傾向に反転させるパワーはなさそうだ。 ◆低インフレが続く 4-6月期のGDPデフレーターは前年同期比▲0.6%と、前期の同▲1.3%からマイナス幅が縮小した。内訳を見ると、第一次産業、第二次産業のマイナス幅が縮小した一方、第三次産業のマイナス幅は拡大した。上記のサービス業の停滞を考慮すれば、第三次産業のマイナス幅は更に拡大する可能性がある。実質GDP成長率は政府目標の5%前後を達成する可能性が大きいものの、名目成長率の下振れは企業売上高の下振れを示唆する。企業が従業員の報酬をカットすれば、家計の購買力が低下し、企業の売上高が更に下振れしやすいという悪循環に差し掛かっている。
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