「京都のねこは、わりとのんびりしています」動物写真家・岩合光昭さん
京都のネコは京都の人と同じ
心が震える体験もあった。 秋。岩合さんは、紅葉があざやかな神社の境内にいた。ネコと紅葉が調和して1枚の絵となった光景を撮影したとき、そのあまりにもの美しさに「体が震えるほどの感動を覚えた」という。 「僕は人生の半分を海外で写真や映像を撮影しているコスモポリタンです。その人間が、この光景を目の当たりにして心が震える感覚を覚えることができた。僕には日本人の血が流れている、ということを呼び覚まさせてくれました」。 京都のネコについて、岩合さんは「わりとのんびりしています。それは、京都の広い空がもたらすのではないでしょうか。大きな空を見ていると気持ちがゆったりするでしょう」と話す。 ネコも空を見上げる時がある。たとえば、鳥が視界を横切るときなど。岩合さんには、建物の高さ制限がある京都の市街地が、ビルが立ち並ぶ東京都心とは異なり、空が思いのほか広いと感じられた。 岩合さんは「京都の古い街並みには昔からの風が通り、大きな空があります。その中で暮らすネコを通して、京都の人々の営みや、ゆったりとした京都らしさが見えてきました」と話した。 (取材・文:具志堅浩二)