「カフェに行くと仕事が捗る人」と「自宅作業のほうがダンゼン捗る人」の違い【集中術】
集中力を持続させるには「疲れない姿勢」を保つことも重要
集中力を保つための環境は人それぞれで違うということは前項で説明しましたが、自分にとって集中できる環境であっても、集中力が落ちてしまうことがあります。 それが「姿勢」の問題です。どんなに周囲の環境が良くても、体の疲れとは関係ありません。座り心地のいい椅子であっても、ずっと座って作業を続けていると疲れてきます。体が疲れてしまうと、人の集中力は落ちてしまうのです。 それを防ぐために大切なのが姿勢です。 長時間同じ姿勢だと疲れるのは当然ですが、特に悪いのが「猫背」です。背中を丸めて肩をすくめる猫背の体勢は、人の体の構造から見ても決して自然な姿ではありません。猫背は血行を悪くして体を硬直させ肩こりなどの原因になり、意識していなくても体にダメージを蓄積していきます。 脳は体から「ダメージが蓄積している」という信号を受け取ると、体を動かして血行をよくする行動を促すために肩の張りを感じさせるなどして、集中力を切ろうとするのです。 長時間の作業ではどうしても血流が悪くなりますが、こういった脳の行動を遅らせる、つまり集中力を長続きさせるためには、猫背をやめるのが一番です。 しかし、モニタありきのデスクトップパソコンと違い、ノートパソコンはモニタの位置が低いため、どうしても視線が下に向きがちです。また、最近のノートパソコンは小型化が進んでいるため、モニタをよく見ようと前かがみ=猫背になることも多いでしょう。 これを防ぎ、背筋を伸ばした体勢にする方法としては、ノートパソコンを置く場所を工夫するという手があります。やり方は簡単で、パソコンスタンドを使うこと。モニタの画面が背筋を伸ばして座ったときに目線の高さと同じになるようにするだけです。 背筋が伸びた状態でモニタ画面と目線の高さをあわせる他の方法としては、椅子の高さを変えるという方法もあります。パソコンスタンドがいわば机の高さを変えるという方法であることに対し、椅子の高さを変えるだけなので手軽な方法と言えます。 このとき、視線を下げるために椅子の高さを下げるのではなく、椅子に浅く腰かけて視線を落とすのはNGです。そもそもの目的は背筋を伸ばした正しい体勢にすること。椅子に浅く腰かける体勢ではかえって猫背になってしまいます。 「たかが姿勢」「たかが座り方」と思わず一度試してみましょう。集中力の持続時間が変わることに気付くはずです。 <ポイント> ●脳は、猫背によって体がダメージを受けると解消させようとして集中力を乱す ●背筋を伸ばした体勢で座るのが疲れを軽減するコツ ●ノートパソコンはスタンド利用や椅子の高さ調整で対応する 【監修】坂本 崇博 コクヨ株式会社 働き方コンサルタント、働き方改革プロジェクト アドバイザー 1978年兵庫県生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、2001年にコクヨ株式会社入社。“効率化”という観点から会議体の工夫、情報管理方法のアドバイスなどを自ら考案、新規事業として立ち上げる。2016年に総務業務を中心としたアウトソーシングサービスを提供するコクヨアンドパートナーズ株式会社を設立。現在は、コクヨ株式会社にて働き方改革プロジェクトのアドバイザーを務める。著書に『意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革』(PLANETS/第二次惑星開発委員会)がある。