2024年版 いま乗っておきたいホットハッチ 10選 全方位で大活躍!
2. ホンダ・シビック・タイプR
先代のホンダ・シビック・タイプRは、本誌のお気に入りのホットハッチの1つだったので、新型車への期待も高かったが、嬉しいことにその期待は裏切られなかった。多くの点で先代と変わらないからだ。エクステリアとインテリアは新しいが、プラットフォームは先代のものを「最適化」したものである。 パワートレインとしては、おなじみのターボチャージャー付き2.0Lエンジンが、フライホイールの軽量化、インテークの見直し、排気フローの改善などにより、最高出力320psから330psへとパワーアップしている。 デュアルアクシス・フロントサスペンションとマルチリンク・リアアクスルはよく似ているが、トレッド幅が15mm拡大されたこと、ボディシェルが15%強化されたことと相まって、よりシャープなハンドリングと高い快適性を両立している。GTレースカーのようなリアウイングがまだちょっとした「やんちゃ感」を醸し出しているとはいえ、先代よりも大人のクルマに感じられる。 0-100km/h加速5.4秒、最高速度270km/hというパフォーマンスを、洗練された乗り心地とともに実現している。シャシーは粘り強いグリップと一体感あるコントロール性を兼ね備えており、スロットルを離したりブレーキを踏んだりすることで、コーナーでのラインを微調整することができる。心臓がバクバクし、脳内神経伝達物質をドバドバ出すようなクルマであることに変わりはないが、日々の通勤が億劫になったり、高速道路走行が我慢大会になったりするようなクルマでもない。 では、なぜこのクルマがトップでないのか? まず、ホンダは欧州向けの価格を大幅に引き上げたことが理由に挙げられる。先代は約3万3000ポンド(約620万円)からだったが、今回は5万ポンド(約940万円)が必要だ。ポンド円の為替相場や物価の高騰を考慮しても、安いとは言えないだろう。ちなみに、英国では輸入される台数が数百台規模と少ないため、英国人が手に入れるのには苦労するはずだ。