2024年版 いま乗っておきたいホットハッチ 10選 全方位で大活躍!
5. メルセデスAMG A 45 S
メルセデスAMG A 45 Sは、6万ポンド(約1130万円)以上する四輪駆動のホットハッチバックで、最高出力421psと最大トルク51.0kg-mを発生する2.0L 4気筒を搭載している。地球上で最もパワフルな量産4気筒エンジンであり、排気量あたりの出力はフェラーリ488ピスタの3.9L V8を上回る。ある意味、まったく馬鹿げている。 ウィング、フィン、フェンダーを備えた驚異的なドライバーズカーであり、加速性能は言うまでもなく絶大だが、それ以上に驚きなのは、ロングツーリングにおける「礼節」をわきまえていることだ。スピードに乗ったときのボディコントロールは揺るぎないが、快適性も高い。一方でグリップは傑出しており、電動アシスト付きステアリングラックの精度、重み付け、質感のフィードバックは、クラス最高と言っても過言ではない。 多才なホットハッチとして、A 45 Sは間違いなく優勝である。しかし、現在の価格設定ではチャンピオンに輝くのは少々難しい。それでも、なんと素晴らしいマシンなのだろう。もし、A 45 Sが高嶺の花だというなら、弟分のA 35ではなく、フォルクスワーゲン・ゴルフRをお勧めしたい。A 35は見た目こそ似ているが、印象は大きく異なる。
6. フォルクスワーゲン・ゴルフR
高く評価されてきたスーパーゴルフ、四輪駆動のゴルフRは、最新型で大きな一歩を踏み出した。V6エンジンを搭載したR32がアルファ・ロメオ147 GTAと並び、新車で買えるホットハッチの頂点に立った20年前とは異なり、最新型はやや獰猛さを抑えられている。それでも、最高出力320psの2.0Lターボは十分に頼もしい。 武器は他にもある。アダプティブ・ダンパーが装備され、車載スクリーンに触れるだけで一般道をアイロンがけするようなモードと歯を食いしばるようなモードを切り替えることができる。一方、完全トルクベクタリング式の四輪駆動システムは、前後だけでなく、リアアクスルの左右で駆動力を調整することもできる。 追加オプションのRパフォーマンス・パックを選択すれば、ドリフトモードやスピードリミッターの上限を270km/hまで引き上げることもできる(ただし、ちょっとしたギミック程度のものなので、本誌は気にしない)。 現行のゴルフRは先代とはまったく異なる性格を帯びている。先代で人気を博した、しなやかさ、安定性、速さのギリギリのバランスは失われ、ボディコントロールとグリップがさらに向上し、安心感を優先している。 先代の「どんな旅にも速いクルマ」という魅力が好きだった人にとっては、現行型はちょっと真面目すぎて、低速域では飄々としているように感じられるかもしれない。しかし、動力性能が大幅に向上したことは否定できない。リアデフは驚異的な俊敏性をもたらし、ソフトなモード設定では驚くほど乗り心地が良い。 第8世代のゴルフ全般に言えることだが、タッチスクリーンを多用したコントロール・インターフェイスには慣れが必要で、反応が鈍いことがある。改良新型ではその点が解決されるようなので、今後に期待したい。