携帯電話番号「060」追加へ、なぜケータイ番号は急速に足りなくなっている?
もう1つ、サブ回線の需要を高めているのは、災害や通信障害への“備え”です。携帯大手3社は、大規模災害や大規模通信障害で自社回線が使えなくなった時の“備え”として、eSIMなどに他社回線を追加し、非常時に切り替えて利用する「副回線サービス」を提供するようになっています。 メイン回線以外の需要増加で2つ以上の電話番号を持つ人が増え、それが枯渇を進める要因となっているのは確かでしょう。ただ、もう1つの大きな要因として、携帯電話の契約・解約のサイクルが早くなっていることも考えられるのではないでしょうか。 電話番号は有限な資源ですので、解約されて使われなくなった番号も実はリサイクルされ、新しい契約者に割り当てられています。ただ、解約者が新しい電話番号に移行し、それを周知する期間などを考慮し、混乱が生じないよう電話番号は解約後すぐに再利用するのではなく、しばらく時間を置いたうえで再利用することが一般的となっています。 ですが、2019年の電気通信事業法改正によって、長期契約を求める代わりに料金を安くする“縛り”が有名無実化するなど、携帯電話サービスの解約が非常にやりやすくなりました。一方で、解約された電話番号を再利用する期間は従来と大きく変わらないでしょうから、短期間での解約が増えると“再利用待ち”の電話番号が大幅に増えることになります。
その結果、携帯各社が顧客に割り当てられる電話番号が減少し、新たな割り当てを求めることで国が保有する電話番号の枯渇が進む……という可能性も大いに考えられるでしょう。 今後も、メイン回線以外の需要が増えることは間違いないでしょうし、契約・解約がしやすい市場環境が大きく変わるとも考えにくいのも事実。それだけに、新たに060から始まる番号が割り当てられたとしても、意外と早い時期に枯渇してしまう可能性があることは覚悟しておく必要があるかもしれません。
佐野正弘