デリック・ローズが故郷に花屋をオープン…打ち切られるほどの長蛇の列に
■地元の人々に伝えたかったこと
ローズは、シカゴで最も犯罪率が高い貧困地域のイングルウッドの出身である。4人兄弟の末っ子であるローズは厳格な母親と弟思いの兄たちに守られ、街の悪影響を受けないよう大切に育てられた。こうした愛情により、ローズのバスケットボールの才能は若くして開花。高校時代は州大会を連覇し、名実共に世代ナンバーワンのガードとして全米中に名を轟かせた。 ローズはそんな高校時代の実体験をもとに、自身に集中し、自己を証明することの重要性を説いている。 「若い頃、デ・ラ・サル高校からの帰り道、友人のロームとそのような経験をしました。プレーしたのは1試合で、自分が何をしたかを覚えていないほどに熱くなりましたが、試合後には皆からの愛情が変化し、自分が追い求めているものを感じ取ってくれたのです。最も思い出深いのは、ハーブ、ラン、ラングと一緒に車に乗っていたときのことです。後部座席に座っていたら突然、ハーブがこんなことを言いました。『プー(ローズのニックネーム)、今日みたいなプレーをし続けたら、お前は絶対するよ』と。家庭では色々な問題を抱え、いち早く夢を叶えたいと思っていたので、その言葉が胸に響き、涙を堪えました。君たちに伝えたい。どうやって自分自身や家族に対して、偉大であることを証明するのでしょうか?ここにいなかったり、檻の中にいたらできないことです。君たちはシカゴの人間です!銃を撃たずしても成し遂げてきた人たちがいます。僕は地元の皆に訴えかけています。僕たちはそのために生きています。過去を塗り替えられるか否かは僕たち次第なのです」 その身を挺して誰かの人生を変え、シカゴの発展を願い、声を上げ続けるローズ。1月5日(現地時間4日)に『ユナイテッド・センター』で開催されるブルズvsニックスの一戦では、ハーフタイムにローズのキャリアを讃えるセレモニーが開催される予定だ。それがどれほどまでに尊く、美しい時間になるのか、このエピソードがあれば説明するまでもないだろう。 文=Meiji
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