オフロード特化型【BMW R1300GS GSスポーツ試乗】車高は足着き不安なレベルに高いが…ツーリングライダーでも楽しめるのか?
シート高は870mm「走り出しちゃえば関係ない」って言われても、気になる足着き性
新機構として注目されて「ツーリング」に装備のアダプティブ車高制御(走行時はシート高850mm、停止時に30mm車高が下がる)も、前車追尾式クルーズコントロールや追突防止・車線変更の警告なども付かないなど、「GSスポーツ」は見方を変えれば潔い仕様で、しかも長くなった前後サスは、オフ車としての精悍さを強調していて格好がいい。 とはいえ……。R1250GSからR1300GSへのモデルチェンジでは車体のコンパクト化が追求され、STDや「ツーリング」はその恩恵をしっかり受け取れたが、「GSスポーツ」はやはり大きく感じる。 870mmとなるシート高が、まずハードルになると思われるのだ。そしてオフ重視仕様とはいえ、「GSスポーツ」はオフロード以外に恩恵はないのだろうか? 一般道と高速、少々のダートでの使い勝手を試してみた。 ビッグオフ系モデルのエキスパートなどは「走リ出しちゃえば、足着きは関係ない」などと言う。そして往年の名オフロードライダー、ガストン・ライエの話を持ち出したりする。身長164cmと小柄なG.ライエは、1984、1985年のパリ・ダカールラリーをBMWのワークスGSで連覇した達人だが、彼はまったく足が着かないマシンを自在に操った。スタート時は左側ステップにだけ足を乗っけてクラッチをつなぎ、走り出してから右足を向こう側に回す、自転車の「ケンケン乗り」のような所作で発進したのだ。 これをベテランライダーは「ガストン乗り」などと言う。車体のバランスがきちんと取れ、フレキシブルにクラッチをミートできる技量があれば容易だし、ケンケン乗りを知る筆者もできる。とはいえ、だ。これをを信号待ちのたびに繰り返すなど面倒この上ない。可能なら、車体を普通に足で支えたいのだ。 身長173cmの筆者の場合、両足を下ろすとほぼつま先の接地。車体を支える程度は力が入るのでギリギリ許容範囲だが、STDや「ツーリング」の気楽さ(両足裏が半分近く接地する)に対して手強さは感じる。 ただし、新型R1300GS自体のマスの集中化も実感でき、R1250GSアドベンチャーなどと比較するとかなりハードルが低い。足着き性自体は大きく変わらないものの、30L燃料タンクのR1250GSアドベンチャーより軽いことや、先述したマスの集中化や車体のコンパクト化が効いているのだろう。