「人生の最終盤」で誰しもが直面する“3つの憂い”、「きっちり」食べないと、問題はより深刻になる
高齢社会をよくする女性の会では、葬儀やお墓の話がよく話題になります。新潟で墓じまいをされた方のお話をうかがいました。 新潟なので1柱あたりの金額は東京より少しお安かったようですが、お墓の中には知らない先祖の遺骨を含めて18柱あったので、総額はかなりの額になってしまったとのことです。先祖代々の墓ですと、こういったこともあるので気をつけなければなりません。 ■行政が責任を持つスウェーデンの「墓じまい」
10年ほど前に、高齢社会をよくする女性の会役員5人で北欧を旅しました。ノルウェーやスウェーデンの福祉事情を見聞したのです。その時、お墓事情も聞く機会がありました。お墓の前で、お棺に入るというパフォーマンスもいたしました。「不謹慎です」と叱られましたが。 スウェーデンでも墓じまいは行われていました。ただ、行政がするのです。街には公営の霊園がありました。そこと契約し、埋葬されたあと20年から30年、つまり1世代の年月がたつと墓じまいとなり、新しい方が埋葬されます。受け継ぐ意思をもつ子孫がいれば延長できます。非常にスムーズにいっているようです。
人は、地域で育ち、地域で働き、地域で眠る。「育つ」「眠る」は行政が配慮すべきことだと思います。 霊園の場所を提供して、地域住民と契約し、管理する、そういうことを市区町村でやっていただきたいと考えています。これからは、地域とお墓という考えが一般的になるのではないかと、今後も研究して提案していきたいと思います。 東京都では多磨霊園などの公営だと、もう少し墓じまい費用も安いようです。もっと身近に公営の霊園を作っていただきたいところです。相談者さんも情報を集めて、損のないように考えてくださいね。
樋口 恵子 :東京家政大学名誉教授/NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」名誉理事長