「入団時は1年でクビになるとも思った」元日本代表・岡崎慎司の恩師が明かす「19年間やれた理由」
プロクラブの監督になるためにすでに描いている「青写真」
「本人は引退後、指導者になると決めているんですけど、今もう若い指導者がたくさん出ていますよね。例えば今年、ドイツのブンデスリーガでトップを独走中で注目を集めるレバークーゼンのシャビ・アロンソだって42歳、ドイツ代表監督のユリアン・ナーゲルスマンは岡崎の一つ年下。プロチームの指導者になるまで4、5年は最低でもかかるとしたら引退は早いほうがいい、と僕は思っていました。それに監督って、選手とは違って仕事に終わりがないですよね。特に今は映像やデータをいくらでも見られる時代なので、深夜までチェックすることになる。その拘束時間に耐える体力もやはり若いほうがあるので、セカンドキャリアに移行するなら早いうちがいい。 具体的にはプレミアリーグでコーチングライセンス講習を受けながら、ドイツに岡崎が持っているバサラマインツというクラブがあるのでそこを拠点に、という形を目指すと思います。バサラのトップチームは現在ドイツ6部で、プロになれなかったけどチャレンジしに来ている日本人選手も多い。そういう選手たちを指導するのって大変なことなんですよ。なので彼らとコミュニケーションをとったり、説き伏せたりするのは将来プロチームの監督をする上でも絶対プラスになると思っています」 現在岡崎は37歳。仮に指導者を目指さないにしても、選手とは違うフィールドに飛び込むためには、確かに引退は早いほうが良さそうだ。杉本氏は、岡崎の今後に最後にこんなエールを送った。 「岡崎って、とにかく頭を使う人間です。意外と感覚派ではなくて、今回の引退、指導者を目指すという決断は彼なりのロジックでたどり着いたはずです。監督として、本人が経験したことも含めてフィジカル的に根拠のある戦術を採用して、フィジカル的な根拠のある選手を育てていってほしいなと思います。 レスター時代、岡崎が1試合で34本もスプリントして当時はそれがスゲーってなったんですが、今はそれが当たり前です。そんな潮流もふまえつつ、フィジカルと技術を分けるんじゃなくて、全てを融合させてサッカーとして表現できる指導者になってほしい。そういう志を持っていると思っています。コーチングライセンス講習も含め、今後も簡単ではないでしょうけどそれも乗り越えてやってくれると思っています。頑張ってもらいましょう」 取材・文:了戒美子 1975年、埼玉県生まれ。日本女子大学文学部史学科卒。01年よりサッカーの取材を開始し、03年ワールドユース(現・U-20W杯)UAE大会取材をきっかけにライターに転身。サッカーW杯4大会、夏季オリンピック3大会を現地取材。11年3月11日からドイツ・デュッセルドルフ在住
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