世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.119「マルケスはファクトリーとサテライトの壁を超えるか」
それにしても、今年の全日本JSB1000は本当に面白い! 中須賀くんのチームメイトである岡本裕生くんも成長してきていますし、水野くん+パニガーレV4R、長島くん+ダンロップなど、実力と個性の両方を備えた組み合わせは目が離せません。さらに高橋巧くん、野左根航汰くんら、世界でのレースを経験した力のあるライダーも揃っています。 誰が中須賀くんを打ち倒すのか……。話題が尽きない今年の全日本は、華やかだったあの頃が戻ってきた感じで、個人的には本当に楽しみ。やっぱりハイレベルな競争が繰り広げられると、レースは盛り上がりますよね!
日本メーカーは再び勝てるようになる?
日本……ということで、最後に改めてMotoGP開幕戦の話に戻りますが、日本メーカーはどうしちゃったんでしょうか? ヤマハはファビオ・クアルタラロの11位が、ホンダはヨハン・ザルコの12位が最上位でしたが、あまりにも存在感がなくて、さすがにまずいんじゃないか、という気がしました。 ──後方で固まり、“ジャパンカップ”と言われてしまう状況。レースウィークに入ったポルトガルGPではいい兆しが出始めているが……。
ここまで苦戦が続いていると、企業にとってはむしろマイナスイメージになってしまうのではないかと、余計な心配をしてしまいます。レースをやってきた身とすれば、やっぱり「レースは勝ってナンボ」の世界。勝てないまま続けることにどんな意味があるのかと、ちょっと考えてしまいます。 さまざまなレギュレーションによって、日本メーカーの得意分野が押さえつけられたのは確かかもしれません。でも今、あらゆるレギュレーションの縛りやコスト制約を取っ払って完全フリーにしたとして、果たしてホンダやヤマハが勝てるようになるのでしょうか? ドゥカティがここまで来るには、長い年月がかかっています。’03年からMotoGPに参戦を開始し、’07年にケーシー・ストーナーという天才によってチャンピオンを獲得しましたが、長い長い不遇の時代を過ごしています。’14年にジジ・ダッリーリャが加入してから劇的に変化したとは言え、そこから’22年の再びのチャンピオン獲得までに8年の歳月を要しました。 あらゆる制約を取り払ったら、ホンダ、そしてヤマハという日本メーカーは、再びチャンピオンの座に返り咲けるのでしょうか? 可能なのか、不可能なのか、可能だとしてどれぐらいの年月が必要なのか……。皆さんはどう思いますか? TEXT: Go TAKAHASHI PHOTO: Honda, Michelin, Red Bull, 箱崎太輔(全日本JSB1000) ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。