ボルボXC60 アルティメットB5 AWD 少しずつ進む電動化への過程 新時代のボルボらしさを実感
B5のAWD、XC60のベーシックモデル試乗
今回試乗したボルボXC60のB5アルティメットAWDは、登場したばかりの新しいモデルではない。ボルボは基本となるモデルの外観に少しずつ変更を加えながら電動化を推し進めている。 【写真】ボルボXC60 アルティメットB5 AWD試乗の様子をみる (43枚) XC60に関しては昨年8月、新色の追加や標準装備の変更とともに新価格が設定されているが、クルマ自体に手が加えられたという話ではなさそう。 XC60シリーズの2024年モデルは3車種で構成されている。ベーシックなプラスB5は2L直4ターボ・エンジンと48VのMHEVシステムを組み合わせたFFモデル。今回ドライブしたアルティメットB5 AWDは先のFFモデルに後輪を駆動するコンポーネンツを追加したAWDモデルとなる。 最上級のリチャージアルティメットT6 AWDプラグインハイブリッドは2L直4エンジン+8速ATというICE部分の基本構成は他のXC60に近いが、プロペラシャフトは持たず、リアの駆動は145psもモーターに頼る。もちろんフロントにも71psのモーターがあり、なおかつ外部充電が可能なPHEVシステムを備えている点が異なる。 電動化を積極的に推し進めているボルボがメーカーとして推奨するモデルはT6なのだろう。だが特に集合住宅棟に住んでおり充電環境を整えることができないユーザーや、シンプルな構成をよしとする古くからのボルボ・ファンにはB5がちょうどいいということになるだろうか。 個人的なチョイスを尋ねられたら、シンプルなAWD、つまり今回のアルティメットB5 AWDを選ぶはずだ。
直感的ADASの妙、でも薄味?
我々メディアによる試乗には、メーカー主催の試乗会をはじめとする比較的短期のものと、今回のような旅のお供のようなロングドライブとがある。 長距離を走るとそのクルマが持つ数値的な性能やハイライト的な装備ではなく、オーナー目線に近いそもそもの空気感のようなものが理解できる点がいい。 筆者が以前、XC60に触れたのは2年ほど前、ボルボのインフォテインメントシステムにグーグルのOSとアプリが入った時の試乗会だったと記憶している。そのせいか肝心かなめのクルマ自体の印象は強くない…… 今回ミシュランのスタッドレスを履いたXC60で目指した先は長野の山の上。走りはじめてすぐに感じたのはステアリングの左スポーク上にスイッチが集まっているADASの扱いやすさだった。筆者のようにあまりボルボに乗らないドライバーでも直感的に扱える。 最新のADASでもカーブが連続する中央道をそれ任せでドライブするのは難しい。だがADASとの協業によってリラックスできるアドバンテージは大きい。一方下道に降りて少しタイトな山道や雪道を走るようなシチュエーションでもプレミアムDセグメントというサイズ感がベストなのだと実感した。 今回の長野ドライブにおけるクルマ自体の印象はよく言えば快適だが、少し言い方を変えると「けっこう薄め」とも感じた。その考えに変化が生じたのは、長野から1日おいて伊豆までドライブしたとき。北欧らしいイイモノ感ってコレだ! とわかった気がした。