「スクリューキャップのワインは2流品」は本当?
スクリューキャップの利点
スイスやニュージーランド、オーストラリアではとても普及しているスクリューキャップだが、フランスでは受けが悪い。それでもフランス国内でこのスクリューキャップ(クロージャー)方式は一番順調に伸びており、2022年には7億個のキャップが生産された。コルク栓の汚染などによる品質劣化が一切ないという点がスクリューキャップの利点だ。もっとも、コルク栓のせいでせっかくのワインを流しに捨てなければならない可能性は以前よりも減っている。コルク栓にはもうひとつ、不器用な開け方をするとコルクがボトルの底に沈んでしまう危険性もある。世界第2位のコルク栓製造会社であるヴィンヴェンション社の社長、ステファン・ヴィダルは、これからワインの購買層の中心となる18~35歳はスクリューキャップへの抵抗感が薄いはずと言う。 「これ以上に手軽なキャップはありません。ワインオープナーを用意する必要もなければ、開ける時に失敗するおそれもない。オーストラリアやニュージーランドで普及しているのは、アウトドアを楽しむライフスタイルとマッチしたからです。ピクニックやハイキングに出かける時に荷物はできるだけ少なくしたいもの。家で格式ばったディナーを催すよりも河岸で気分が乗ったらその場で飲み食いを始めたい若者層にぴったりです」
若い世代がスクリューキャップにマイナスイメージを持たないのと同様、目の肥えたワイン愛好家だってこの方式に魅了される可能性は十分にある。 「スクリューキャップのワインはダメという先入観さえ捨てれば、このキャップの良さがわかるはずです。保管にも適していますから。ワインの品質をもっとも活かすことを考えてワイン栓方式を選んでいる生産者を信頼すべきです」とステファン・ヴィダルは語る。オード県のドメーヌ・ガイダのダヴィッド・シャルドロンは20年以上前からスクリュー・キャップを採用している。 「これにより、非常に売れ行きの良い輸出用と、フランス国内向けとで同じパッケージングが可能になりました。フランスでも10ユーロ以下のワインならば文化的偏見や、ある種の集合的無意識を顧客も無視できるようです。もっと高いワインならばダメでしょうが」 白ワインでは、グルナッシュとヴィオニエをブレンドした「フライング・ソロ」のキュヴェが実にフレッシュな味わいで、非常にコスパが良い。「これは若いうちに飲むべきワインで、1年以内に飲むことを勧めます。オーガノレプティック的観点からスクリューキャップが完璧です」とダヴィッド・シャルドロン。疑り深い人も、ドメーヌ・ガイダのワインを試飲すれば、伝統的なコルクに代わってスクリューキャップを採用する理由に納得するかもしれない。
text : Agathe Pigneux (lefigaro.fr)