【国交省の対応は】型式指定不正、全貌は? 処分のみならずどう「改善」していくのか
これまでの経緯 ダイハツ不正を契機に業界で一斉調査
6月3日、トヨタをはじめ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機という自動車メーカー5社から38車種における型式指定申請における不正行為があったことが発表された。 【写真】出荷停止車種「ロードスターRF」「ヤリスクロス」 (53枚) この大きな問題の発覚は、昨年に大騒ぎとなったダイハツ工業の型式指定申請における不正事案が発端となっている。 ダイハツ工業の問題を重くみた国土交通省は、2024年1月に国内の自動車メーカーなどに型式指定申請における不正行為の有無等に関する調査・報告するように指示していたのだ。 調査を求められたのは、国内の自動車メーカーをはじめ、インポーター、サプライヤー(装置メーカー/インポーター)の合計85社。その結果として5社から不正の報告があったというのが、今回の事件のあらましだ。 ちなみに、トヨタを含む17社が調査継続中で終わっていない。最悪の場合、さらなる不正発覚の可能性も残っているのだ。 これに対して、国土交通省は「国土交通省が基準適合性を確認するまで、不正行為のあった車種の出荷を停止すること」「最終的な調査結果を速やかに提出すること(調査中のトヨタなどに)」「ユーザーなどへの丁寧な説明や対応に努めること」を指示した。 この結果、トヨタ3車種(「カローラフィールダー」「アクシオ」「ヤリスクロス」)、マツダ2車種(「ロードスターRF」「マツダ2」)、ヤマハ1車種(「YZF-R1」)の6車種が出荷停止となっている。 今後は、不正のあった5社へ国土交通省による立ち入り検査が実施され、また、不正のあった車種の基準適合性の確認試験が国土交通省によって行われる予定だ。
ダイハツに続く不正、国交相「極めて遺憾」「重く受け止める」
こうした不正に対して、斎藤鉄夫国土交通大臣は、6月4日の記者会見において「型式指定申請における不正は、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、極めて遺憾です。また、ダイハツ工業等に続き、このような不正が確認されたことを重く受け止めています」と述べている。 ただし、「ダイハツ工業の不正事案に比べ、対象となる車種や生産台数は限定的であると認識しています」「経済への影響を最小限に抑える観点からも、国土交通省として努めていきたい」とも言う。 この発言を聞く限りでは、今回の問題に対して、厳しい処分が下されないことが予想される。