大谷翔平、すでに"MVP対決”を制していた!? ドジャースのワールドシリーズは”鬼門”に…?【コラム】
MVPに相応しい活躍を見せたのは…?
両選手のリーグ優勝決定シリーズの成績は以下のようになった。 ●大谷翔平 22打数8安打6打点9得点2本塁打9四球 打率.364 出塁率.548 OPS1.184 ●フランシスコ・リンドーア 24打数7安打2打点5得点1本塁打4四球 打率.292 出塁率.393 OPS.893 両選手とも十分に活躍したといえる数字を残しているが、全体では大谷選手の数字がリンドーア選手を上回っている。さらに試合別にみると面白い傾向が出てくる。 いずれの試合も、得点や打点の多い方が高いWPAを記録し、そしてその選手の所属チームが勝利しているのだ。これが意味するのは、大谷、リンドーア選手の活躍がチームの勝敗に直結していることである。 さらに、大谷選手は第4戦で、リンドーア選手は第2戦でそれぞれ先頭打者本塁打を記録していること、第6戦はいずれも先頭打者として出塁し得点を挙げていることも面白い。 大谷選手のリーグ優勝決定シリーズの数字に関する別の着目点は、四球や得点(いずれも9)の多さだ。得点は両リーグ合わせて同シリーズに出場した選手の中で最多で、四球はドジャースのマックス・マンシー選手(11)に次いで多い。 地区シリーズでは走者がいない場面で出塁できなかったが、リーグ優勝決定シリーズでは、第3戦の第4打席以降、走者のいない13打席中7打席で出塁している。
脅威の1番バッターに
大谷選手のリーグ優勝決定シリーズの得点内容を取り上げるが、四球で出塁した後生還したケースが5と最も多い。残りは自らの本塁打と単打での出塁である。9得点のうち3つがムーキー・ベッツ選手の長打により生還したものだ。 そして、大谷選手は、第5戦の第5打席~第4戦の第4打席まで5打席連続で出塁、得点している。出塁内容は本塁打と四球となっており、一発だけでなくチームの勝利のためにつなぐ意識が見える。
“夢の舞台”へ向けてもチームは良い流れ…?
この2試合ともドジャースは大勝し、第5戦でのリリーフ投手温存策など後の展開を有利にした。大谷選手を生還させたムーキー・ベッツ選手(シリーズ中のOPS1.183)、トミー・エドマン選手(同1.023)はこのシリーズ中好調で、後者は今シリーズのMVPを獲得している。 一方、大谷選手が出塁しながら得点できなかったことが敗戦に直結した例もあった。第5戦の初回、安打で出塁後ベッツの二塁打で無死2,3塁になった場面だ。3番打者テオスカー・ヘルナンデスのショートゴロで3塁走者の大谷選手は本塁へ突入しなかった。 デーブ・ロバーツ監督も苦言を呈すなど議論を呼んだ大谷選手の打球判断の背景の1つに、ショートのリンドーア選手の強肩がある。換言すればリンドーア選手の存在が大谷の得点を防いだという見方もできる。 このリーグ優勝決定シリーズで、大谷選手は本塁打だけでなく、四球を含めた出塁でリードオフマンの役割も果たしてチームの得点を呼び込んだといえる。1番打者としてこれ以上ない働きを見せたのだ。後に続く打者の好調もこれを支えた。 その結果、戦前にメディアからライバル視されていたメッツのリンドーア選手を上回る活躍を見せ、これがチームのワールドシリーズ進出に直結した。これらを実現させているのが、目前になったチャンピオンズリング獲得への思いだろう。 その大谷選手は、地区シリーズこそ素晴らしい投球に遭い数字は伸びなかったが、ポストシーズン全体では好調を保っているといえよう。 これからはニューヨーク・ヤンキースとのワールドシリーズだ。メディアはアーロン・ジャッジ選手との「直接対決」を早速盛り上げている。 今年のレギュラーシーズンを含む過去の対戦成績からみて、大谷選手にとってヤンキースは苦手な部類に入る。特にヤンキースタジアムは「鬼門」といえる場所だ。 レギュラーシーズン54本塁打59盗塁を記録した大谷選手が唯一「0-0」で終わった相手がヤンキースである。大谷選手はこの壁を越えてチャンピオンズリング獲得に近づけるのか?それとも…
ベースボールチャンネル編集部