新型GXはレクサスらしいオフローダーだった!!! 思わず購入を決意してしまうほどの高い完成度とは
ドライバーの意を汲んでくれるクルマ
車体は大きく、そして軽くもないが、これだけのスペックを誇るだけに走りは痛痒を感じさせることはない。おなじエンジンはLXにも積まれているが、新型GX用はターボチャージャーを小径化して低負荷時のレスポンスを高めており、アクセル操作に忠実に力を引き出すことができる。 この加速、さらに新型ユニットを使ったというブレーキの操作のしやすさは開発時に力を入れたところという。これが加減速を緻密にコントロールしたいオフロード走行時はもちろん、日常域でも扱いやすさに繋がっているのだ。 乗り心地はとてもしなやか。サスペンションがよく動いて、路面の凸凹などをきれいにいなしてくれる。タイヤのゴツゴツ感こそ無くはないが、十分快適と言っていい。 驚くのは、それでいて直進性に優れ、操舵応答性が正確なこと。操舵フィーリングも澄んでいて手応えは心地良い。フレーム構造の車体は大抵、操作と実際の挙動にズレが生じがちだし、ブルブル、ワナワナという細かな振動からも逃れにくいが、新型GXはこれらを見事払拭して、すっきり爽快な走行感覚を実現している。まるで今までの常識が覆されたという感覚。加減速のしやすさと相まって、ドライバーの意を汲んでくれるクルマに仕上がっている。 続いてはオフロードへ。特設コースに設定されたモーグル、32度という急角度のバンク、急勾配の下りと上りなどのセクションは、いずれも普段こうした試乗で見るものより明らかに深く、急で、険しい。実際、1輪を穴に落とすと対角線上のタイヤが浮き上がり、横に傾けば本当に転がり落ちそう、そして上りでは空しか見えないような状況だったが、新型GXはこれらを難無く通過してみせた。このコース、乗用車派生の、つまり世の多くのSUVでは、絶対に走破は叶わなかったはずである。 これはボディ剛性の高さ、サスペンションストロークの大きさ、ローレンジの設定などにくわえて、E-KDSSやAVS、更には微低速をキープしての走行を可能にするクロールコントロールなどの最新デバイスの巧みな連携のおかげ。正直、これほど険しいオフロード体験は初めてだった。 しかも、大きな入力時にもガツンと突き上げてこないなど、こうした場面でも良好な乗り心地には舌を巻いた。まるで地面に、毛足の長い絨毯でも敷き詰めたかのよう。場面を問わず、あくまで走りはレクサスというわけだ。