活躍の場はどこかにあるのか?「高学歴中高年男性」が定年で苦しむ日本の実態【CFPが解説】
定年前後の再就職で発生するミスマッチ
職場で十分に活躍ができないと感じた中高年男性のなかには、再就職という選択を考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。 同調査によれば、高学歴中高年男性が再就職してもいいと考える職種としては、「一般事務・サポート」が最も多くなっています。最も大学難易度区分の高いグループでは、全体に比べて、「調査・研究・コンサルティング」「経営企画」「教育」が多く、相対的には「財務・経理事務」「法務」「翻訳・通訳」といった専門的なスキルも多くなっています。「介護」「保育」の職種に再就職してもいいと考える男性は5%未満です。 しかし、「一般事務・サポート」の仕事は、非常に人気があるため、高齢になってから中途で採用されるのは容易ではありません。今後もニーズが必要とされる仕事としては、介護、保育といった分野が挙げられますが、高学歴中高年男性のそれらの分野への再就職に対する関心は低く、再就職市場の需要と中高年男性側の希望とのミスマッチが存在していることがわかります。 一方で、中小企業・NPO等への再就職を希望する高学歴中高年男性は全体で約7割に上り、中小企業の人手不足状況を踏まえれば、中小企業への再就職という道はあるといえます。ただし、中小企業では、少ない人数で、さまざまな仕事をこなさなければならないケースも多く、マルチタスクができる能力が求められます。 そのため、大企業で働くことに慣れている高学歴中高年男性においては、再就職後のミスマッチを減らすために、中小企業・NPO等で副業・兼業を行うなど、現場を知ることが必要だと考えます。
中高年男性の意欲を活かす複数の選択肢を
本記事では、働く高学歴中高年男性の意欲の高さや、またそれが十分に活かせていない職場環境、再就職でのミスマッチについて述べました。 しかし、いくつになっても高い意欲をもった中高年男性が活躍できれば、日本社会はもっと明るくなるのではないでしょうか。中高年男性の活躍を推進するためには、複数の選択肢が必要でしょう。 <参考> ※ (2022年2月8日改定)東京圏で働く高学歴中高年男性の意識と生活実態に関するアンケート調査結果(報告) 小島 明子 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト
小島 明子