“オークラフレンチ”を現代的に昇華させた〈ヌーヴェル・エポック〉で口福を実感!
1962年に創業した〈ホテルオークラ東京〉は、創業時に総料理長を務めた“小野正吉ムッシュ”のもと、フランス料理というジャンルを日本に確立していった。1973年に別館と同時にオープンしたフランス料理〈ラ・ベル・エポック〉は、本格的なフランス料理が堪能できるということで一世を風靡。その流れを組むのが、2019年に新しく生まれ変わった〈オークラ東京(The Okura Tokyo)〉の〈ヌーヴェル・エポック〉だ。“新しい時代”を意味し、『フォーブス・トラベルガイド2024』では、レストランとして唯一5つ星を獲得して世界からも認められている。
2022年3月から料理長を務めるのは池田進一さん。“オークラフレンチ”の系譜を引き継ぎながらも、コンテンポラリーに昇華させた繊細な料理でゲストを魅了している。魚料理を得意としながらも肉の扱いにも長けており、四季に彩られた日本の食材を巧みに組み合わせて、美食の一皿に仕上げている。 池田さんのフレンチを堪能できるのがディナーコースの“デクーヴェルト A(Menu Découverte A)”(3万9800円)と“デクーヴェルト B(Menu Découverte B)”(3万6800円)。“デクーヴェルト”は発見を意味するフランス語で、どちらともコースを通して新しい食味を発見できる。季節によって内容は新しくなるが、代表的なメニューを紹介していこう。
池田さんのスペシャリテとなるのが、“牡丹海老のマリネとフランス産オシェトラキャビア 甲殻類のジュレと雲丹のクリーム”。甘い牡丹海老と甲殻類のジュレの滋味が魅惑的にハーモニーした冷前菜で、キャビアの塩味や雲丹(うに)のクリームの濃厚な旨味が味わいを豊かにする。牡丹海老が優美に泳いでいるようなプレゼンテーションで、ナスタチウムの緑も印象的だ。
“とらふぐのセビーチェ風 オシェトラキャビアと根菜とともに 柑橘のエキューム”は、日本の食材である虎河豚を見事フランス料理に創出した一品。さっと湯引きした虎河豚をタルタル状にし、スライスした大根などの根菜を合わせた。カリカリっとした細いパートブリックがのせられており、その中には塩味がしっかりとしたアンチョビ。キリッとしたスダチの泡で酸味を補完して、バランスが整えられる。別皿で提供されているのは、河豚の骨と白ワインのスープと河豚の皮で作った煮こごり。途中で加えると食味と食感が変化するので、好みのタイミングで加えてもらいたい。