お金の意味とは?マネー小説のベストセラー作家2人が語る「いくらお金を積んでも、やってくれる人がいなかったら叶わない」
◆「いくら稼ぐか」よりも大事なこと 原田:本に書かれている「誰のために働くのか」というのは、まさしく社会にコミットするということなんですよね。 田内:今、金融教育ということも盛んに言われていますが、金融ってお金を融通することなんです。余っている人が、足りない人にお金を出す。お金を出した人は、利息や配当をもらってお金を増やすことができる。お金を出してもらった人は、そのお金で大学に行って勉強したり、お店を始めたり会社を始めたりして、より良い社会を作っていく人です。教える側に「お金を増やす」という発想しかないから、「お金を出す側」になることばかり教えようとしている。だけど、本当に育てなくちゃいけないのは、お金を「出してもらう側」に立って、「何かをする人」なんです。それなのに、「お金を出すから配当ちょうだい」と言う側になることばかり教えていては……。 原田:「何かをする人」がいなくなってしまいますね。話は変わりますが、今年1月1日に北陸で地震がありました。寄付以外に自分に何ができるかと考えたときに、今年は2冊、書く予定だったところを1冊増やそうかなと思ったんですね。そうすれば私も出版社も国に納める税金が増えるし、海外で翻訳されれば外貨もちょっと稼げます。 田内:すばらしいですね。なるべく税金を払いたくないと思いがちですが、そのお金はみんなのために使われているんですよね。そして、外貨を稼ぐことも大事です。外貨を稼ぐ人がいないと円安は止まらなくなってしまいますからね。 今日はお話しさせていただいて、とても勉強になりました。『三千円の使いかた』の素敵な登場人物たちは原田さんの分身だろうと思いつつ今日に臨んだんですけど、お会いしてみたら本当にやわらかいお人柄で、安心してお話しできました。ありがとうございます。 原田:こちらこそ。『三千円の使いかた』を書いたおかげで、こうして田内さんとお話しできたことこそ、まさに私にとっては「お金では手に入らないこと」でした。ありがとうございました。 (構成=福島結実子、撮影=尾形文繁)
田内学,原田ひ香
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