マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
現在のEVはまだ発展途上にある
ライターズ氏によると、マクラーレンは同社初のEVを「定義するためのエンジニアリング・プログラムを開始」したが、現在のバッテリー技術では高い性能目標をクリアすることができないという。 「我々はコアブランドとDNAを守り続けなければなりません。スーパーカーであり、軽量であることですが、現在(電動パワートレインでは)実現できないものです。この技術を開発するには時間が必要です」 「重さ2トンで2000馬力ではスーパーカーと言えない」と述べ、現在のV6やV8を搭載したマクラーレンのモデルと同等の車両重量を実現し、「ストリートでの軽快さ」と「マクラーレンの完璧なフィーリング」を実現すると改めて約束した。 マクラーレンの中心的な顧客層は、EVスーパーカーに対して「懐疑的」であることも認めた。だからこそ、「説得力のあるもの、つまり軽量でブランドを守れるもの」にすることが特に重要なのだという。 ライターズ氏はまた、電動車について技術的な難しさだけでなく、中古車の価値に関する「商業的」な懸念もあると示唆した。 「当社のお客様は非常に裕福ですが、損はしたくないと考えています。残存価値(手放すときの価値)は非常に重要であり、BEVにおいては残存価値がまだ発展途上であることを目の当たりにしてきました」 マクラーレンは本拠地の英ウォーキングでの生産にこだわっているため、国内サプライチェーンの強化とEV研究開発の促進は特に重要な課題だ。ライターズ氏は、同社の「非常に特殊なスキル要件」が現地従業員によって十分に満たされていることを理由に、海外生産は「検討していない」と述べた。 また、マクラーレンは新しいV8ハイブリッド・パワートレインに投資しており、エンジニアリング企業リカルドと共同開発し、ラインナップ全体に展開する予定である。今後3~5年で販売の90%をハイブリッド車にする方針だ。 一方、長年の懸案であったSUVについては、現在のバッテリー技術がSUVのようなユースケースに適している可能性はあるが、EVにするかPHEVにするかはまだ決めていないという。 SUVはマクラーレンの販売台数増加に貢献し、ビジネス上のリスク回避に役立つだろう。しかし、同社は「このセグメントで顧客は何を求めているのか?」という問いに向き合い、答えを模索している。 ライターズ氏は具体的な候補を挙げなかったが、支出を最小限に抑えるため “他のメーカー” からプラットフォームの供給を受け、これをベースにSUVモデルを開発する可能性もある。
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)