【パリ五輪】過去にボクシング女子に“参加資格なし”の選手が勝利 背景に長引く“ルールの不在”が…
■背景に“統括団体”の不在も…
国際的な競技団体によって一度は性別の要件を満たさないとされた選手が、なぜ女性競技に出場することができるのだろうか。 IOCは東京大会後の2021年、選手の性別の扱いに関する指針を発表している。とはいえ基本的には各国際競技団体にルール作りを一任している。その後、陸上の世界陸連や世界水泳連盟では、性別に関する参加資格のルール作りが進んでいた。 ボクシングにおいてその役割を果たすはずだったのは上記のIBAだが、同組織は、組織運営の問題が原因で、2019年にIOCに五輪統括団体としての地位を停止されている。つまりボクシングにおいては、ルールを決める団体が“存在しない状態”が続いているのだ。 そこでIOCは、パリ五輪ではボクシング競技実施のための部門(PBU)を設立して対応。しかしPBUの規則には女子選手として参加するための条件は定められていない。 IOCの広報責任者のアダムス氏は先月31日の会見で、「これらのアスリートはパスポートの上で『女性』であり、これまでもずっと競技に参加してきた」として、IOCにとってこれらの選手の女子競技参加には何の問題もないとの見方を示している。 またIOCは1日、公式サイトで『パリ2024ボクシング部門とIOCの共同声明』を発表。「選手が現在、受けている中傷に心を痛めている」とした。また、ハリフ選手とリン選手が受けている攻撃は、「IBAによる恣意(しい)的な決定の産物だ」としてIBAを改めて批判し、新たな統括団体を立ち上げるよう、各国の競技団体に呼びかけている。