住宅ローン金利の引き上げを自分だけ回避する方法! 銀行のマニュアルに記された「金利を据え置きにしてもよい顧客」とは?
住宅ローン金利引き上げの動きが高まり、住信SBIネット銀行は実質的な変動金利の引き上げを発表しました。こうした中、銀行のマニュアルには「金利を据え置きにしてもよい顧客」が記されています。住宅ローン金利の引き上げを個人で回避する方法について、現役の銀行員が解説します。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員) 住宅ローンの10年後の変動金利は、0.7%~2.3%に上昇すると試算(12銀行ごとに見通しあり) 目次最近の住宅ローン金利の動向住宅ローン金利引き上げを自分で防ぐ方法おすすめできない回避交渉まとめ
最近の住宅ローン金利の動向
「ゼロ金利解除」後、住宅ローン金利上昇への不安の高まりと合わせるように、「住宅ローン・金利上昇」といった記事が増えてきました。住宅ローンを返済中のみなさんや、 これから住宅ローンを組もうと計画している人は、将来の金利について不安になっているのではないでしょうか。 まずは、最近の金利に関する動きを振り返りつつ、金利の基本事項を確認しておきましょう。 現在までの金利の動き 日銀総裁の交代、そしてゼロ金利政策の解除。大きく変化する情勢の中、これまで何年も無風状態だった住宅ローン金利にも変化が表れてきています。 たとえば、新規の固定金利は、日銀総裁交代の前後でわずかに上昇。変動金利では、ゼロ金利解除後の2024年4月現在、新規の金利を引き下げた金融機関もある一方、住信SBIネット銀行は実質的な変動金利の引き上げを発表しました。 なお、返済中の住宅ローン変動金利が一斉に引き上げになる事態にはなっていません。 以上が昨年末から最近までの金利に関する動向です。なお、下記グラフは1986年から現在に至るまでの変動金利(基準金利)の推移を示しています。返済中の借り手は、この変動金利(基準金利)と連動して変更されますが、ここ三十年近く、ほとんど変更されていません。 住宅ローン金利の仕組みを再確認 続いて、住宅ローン金利の仕組みについて改めて確認しておきましょう。 まずは変動金利についてです。変動金利では、基準となる金利が上昇すれば、連動して自分の住宅ローン金利も上昇します。以下に基本事項をまとめました。 <変動金利の基本事項> • 基準金利(店頭金利、標準金利とも) 住宅ローンにおいて基準となる金利のこと。顧客の金利(適用金利)は基準金利から引き下げたものとなり、基準金利に連動して上下する。この引き下げになる金利差(優遇幅)は最初に借りるときに決定され、原則としてこの幅が縮小されることはない。 次に、固定金利についての基本事項です。 <固定金利の基本事項> • 金利が固定 固定金利の期間中は金利が変わらない。 • 変動金利より固定金利の方が高め 一般的に、同じ時期に借り入れをする場合、変動金利より固定金利の方が金利は高くなる。 基本的に銀行は、変動金利ならば「基準金利に連動」していることを、固定金利ならば「基準金利から〇%優遇」していることを強調しています。 これは、これから金利上昇の局面を迎えた場合、銀行が「基準となる金利が上昇したので、あなたの金利も上昇することになりました」と、仕方なく引き上げたことを説明するためでもあります。