「成人した時は不安でグラグラだった」30代の豊田エリーが18歳の自分にいま伝えたいこと
「ずっと子どもの気持ちを持ち続けたい」―娘は私の師匠
――18歳の頃の自分に言ってあげたいことは何ですか? 豊田エリー: まずは「自分を大切にしてほしい」っていうこと。自分のことを信じてくれる人たちに囲まれてほしいというか、自分のやりたいことや自分の気持ちを尊重して信じてくれる人たちと接してほしいです。思い返すと10代の頃に悩んでいたことって、思い描いている自分と現実とのギャップだったんです。それでちょっと暗い気持ちになったりした時期もあったんですけど、自分のことを信じてくれる人が周りにいると、それによって救われることもある。それは家族だけじゃなくて、仕事関係や友人もそう。自分の可能性を信じてくれる、そして自分も相手の可能性を信じられる相手と生きていかないと、どんな面においても生きづらさがでてきてしまいますからね。 自分を大切にできると、周りを大切にできたり、気持ちのゆとりが生まれてきたりすると思います。10代は理想が高くなってしまっていて、できないことにとらわれていた時期だったので、「大丈夫だよ」って言ってあげたいです。 ――現在の豊田さんは、18歳の頃に思い描いていた「大人像」に近づいていますか? 豊田エリー: 10代の頃は、大人になっていけば悩みも減っていって、10代特有のムズムズした悩みもなく、堂々と生きていけるのが大人というイメージがあったんです。でも、いまでもいろんなことで悩んでいるので、当時思い描いていた大人像とは全然違いますね(笑)。 小さなことで悩めるのも良いことなのかなって思い始めています。それはやっぱり上を目指しているからゆえの悩みだから。10代の頃はいろんな理想があったんですけど、どうしても大人になっていくと「現実でそれは難しい」って夢を潰していってしまう。そうじゃなくて、「何歳でも大きいことを考えていて良いんじゃないかな」って思えるようになりました。 そんな思いもあって、20代半ばからの自分のテーマは「ずっと子どもの気持ちを持ち続ける」ということ。新鮮な驚きなどを大事にしていきたいなっていう気持ちがあるんです。10代の頃は「落ち着いて安定した大人」が理想だったんですが、いまはおばあちゃんになっても「まだもっとこうしたい!」と言い続ける大人になっていたいです。 ――豊田さんがいま、憧れる・理想としている大人はいますか? 豊田エリー: 素敵な方たちがいっぱいいるので、憧れる方なんてたくさんいて数え切れないほどです。だけど、いつも学びをくれるのは娘ですね。世界を見るまなざしっていうか、子どもたちの感性にすごく憧れていて、その気持ちを持ち続けていたいっていう意味でも、娘からたくさん学んでいます。 たとえば、基本的に私は新しい環境に飛び込むときにひるんじゃったり、周りにどう思われているかを気にしすぎたりしてしまうんですが、子どもはその中でも楽しみを見つけていく天才。悪いことに目を向けると嫌になっちゃったりするけど、子どもは物事の良い方をキャッチするので、明るく生きていく師匠というか(笑)。その姿を見ていると、自分も何か新しいことを始めるときは、楽しいことをキャッチして生きていきたいなって思います。 もう一人憧れているのは、昨年100歳で亡くなった私の祖母ですね。ずっと健康で背筋がシャキッと伸びている女性で、若い時から仕事もずっと続けていて、80歳になっても物を書くとか何かしらしている人でした。厳しい部分もあったので甘えられるおばあちゃんではなかったけど、常に凛としていて自分を大事に生きている人だったので、祖母のメンタルや生きざまもすごく憧れています。 ――もしも18歳まで人生を巻き戻せるなら、何をしたいですか? 豊田エリー: 留学をしてみたかったなとかいろいろありますね。でもここまでの選択が一つでも違っていたら「娘に会えない」って一番に思っちゃう。だから、きっと娘に会うために同じことをします。いろんな悔いが残っている部分もあるけど、生活の大事な基準が娘なので。それでまた「留学したかったな~」なんて言うんです(笑) ----- 豊田エリー 1989年生まれ、東京都出身。モデルとして活動を開始し、2006年に『陽気なギャングが地球を回す』で映画初出演。以降、テレビドラマや舞台、CMなどでも活躍する。2010年に俳優の柳楽優弥さんと結婚し、同年10月に長女を出産。 文:稲垣恵美 制作協力:BitStar