震災から30年 今、考える未来とは 兵庫県立美術館「1995⇄2025 30年目のわたしたち」展
阪神・淡路大震災からまもなく30年。兵庫県立美術館で特別展「1995⇄2025 30年目のわたしたち」が開催されている。6組7人のアーティストが、30年という時間に向き合い、「未来へどうつなげていくか?」という思いを込めた作品が並ぶ企画展。2025年3月9日(日)まで。 【写真】「1995↔2025 30年目のわたしたち」展をのぞき見! 1995年1月17日の震災で、兵庫県立美術館の前身である兵庫県立近代美術館は、建物や収蔵品に大きな被害を受けた。兵庫県立美術館は、これを引き継ぎ、震災復興の文化的なシンボルとして2002年に開館。これまでも5年ごとの節目に関連する展示を行ってきたが、今回は特別展会場での初の自主企画展となる。 阪神・淡路大震災からの30年の間に、アメリカ同時多発テロ(2001年)や東日本大震災(2011年)、ロシア軍によるウクライナ侵攻(2022年)、イスラエルとハマスの武力衝突(2023年)、そして能登半島地震(2024年)と、国内外から災害や紛争の報が幾度も届いた。そんな中で明るい未来を描くにはどうすればいいのか。阪神・淡路大震災から30年という長い年月を経た今、改めて震災と向き合い、決して簡単に答えを出せない問いに、6組7人の現代美術作家が向き合った。 展示のトップバッターは田村友一郎。「能舞台をイメージした」という長い廊下から鑑賞者を1995年に誘う。この年、震災の他にどんな出来事があったのか。神戸に本拠地を置くオリックスブルーウェーブがリーグ優勝を果たした。「がんばろう神戸」の文字が入ったボールや、ウインドウズ95から着想を得た作品を展示する。 明石市出身の写真家・米田知子は、「記録として撮っていた」震災直後の写真と、その10年後の写真を展示。2004年に撮影された「教室」に映るのは、カーテンがあるだけの空っぽの空間。ここは遺体安置所として使われていた場所だという。「10年経つと記憶は薄れていき、ここは『不在』だけど、確かにここにあったという記憶が日差しとなって窓から差し込んでいる。その思いを重ねてほしい。それが風化させないことにつながる」と話す。 この他、震災を神戸市北区の自宅で経験したという束芋、神戸市出身のやなぎみわ、そして國府理の作品が並ぶ。 また、10歳の時に震災を経験したという森山未來(兵庫県出身)は梅田哲也とコラボレーションした。震災から30年の神戸でリサーチを行い、新作を制作。ダンサーや俳優として身体的表現を展開する森山が「僕自身が素材になり、作品の中に入った」。震災から30年の神戸でリサーチを行い、新作を制作。どこからか聞こえてくる声や音、気が付くと動き出す気が付くと動き出すあれやこれや、あれこれ、さまざまなもの 身のまわりのもの。日常生活の中にありながら見過ごされている世界への新たな入口を示す。2人のプロジェクトは、特別展の他、館内の様々な場所で展開される。 同館の林洋子館長は「タイトルの『わたしたち』には、鑑賞者であるあなたも含まれる。展覧会という場が新たな希望の出発点になれば」という。 ◆阪神・淡路大震災30年 企画展 「1995⇄2025 30年目のわたしたち」 会期 2024年12月21日(土)~2025年3月9日(日) 会場 兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 HAT神戸内) 休館日 月曜日、年末年始(12月29日~1月3日)
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