西武24歳「思い描いていたものとは全然違った」 訴えた“待遇改善”…確約もらった新査定
西武・佐藤隼輔は2年連続40試合に登板した
西武が救援投手陣に“ブルペンで肩をつくった回数査定”を導入する。左の中継ぎ要員の佐藤隼輔投手が3日、球団事務所で契約更改交渉を行い1300万円増の年俸4300万円(金額は推定)でサイン。47試合に登板し防御率2.50と奮闘した昨年にも増して、プロ3年目の今季は45試合で同1.69の安定感を誇った。 【写真】西武左腕の“彼女”が「美人すぎ」 恋人繋ぎで登場に大注目「可愛い」 契約更改後、会見に応じた佐藤隼は「来年はブルペンでの準備の査定を大きく変えていただくと約束してもらい、その上でサインしました」と充実感を漂わせた。 リリーフ陣は大変だ。試合の展開次第で突然指名を受け、ブルペンでの投球練習もそこそこにマウンドへ上がることがあれば、逆に4度も5度も肩をつくるように命じられた挙句、結局出番なしに終わるケースもたびたび起こる。数字に残る登板試合数やイニング数以上に、消耗度は激しい。24歳の佐藤隼は「肩をつくる回数に応じた査定のしかたについてお話をしました。具体的な査定法はわかりませんが、そこを変えていただけることは約束しました」とうなずく。 実は、佐藤隼がこうして訴えたのは、今オフが初めてではない。「昨年の契約更改交渉でも、申し入れをさせていただきました。その結果、今年も評価方法が変わった部分はあったのですが、僕ら選手が思い描いていたものとは全然違いました。ブルペンで肩を1度つくった人も、5度つくった人も、同じような査定になっていましたから」と説明する。 しかし今回は、交渉相手が広池浩司球団副本部長(来年1月1日付から球団本部長)に変わり、「昨年以上に長時間の交渉になりましたが、他球団の例も含めて言わせてもらいました。来年は大きく変えていただけると思います」と手応えを得た。
交渉相手の広池球団副本部長も現役時代は中継ぎ「気持ちはもちろんわかる」
さらに佐藤隼は「森脇(亮介投手)さんにしても、(佐々木)健(投手)さんにしても、必ずしもそれが原因の全てではなかったかもしれませんが、ブルペンで数多く肩をつくることには、結果として大きな怪我につながるリスクがあると思います」と付け加える。森脇は貴重な中継ぎとして2020年から3年連続で40試合以上に登板したが、昨年7月に「右上腕動脈閉塞症」と診断され手術し、同年オフに育成選手となった。左腕の佐々木も、2022年には37試合に登板し、昨年も7月までに21試合でマウンドに上がったが、左肘を痛めて8月にトミー・ジョン手術を受け、やはり現在は育成選手として復活を期している。 広池副本部長は「中継ぎ投手というのは目に見えない所で、ブルペンの電話が鳴るだけで心拍数が上がるくらい、緊張感を持ってスタンバイしている。肩を1回つくるのと複数回つくるのとでは、負荷が違うというのもわかります。査定ポイントの改善を前向きに考えたいと、佐藤にも伝えました」と最大限に理解を示す。 実は広池副本部長自身、現役時代は広島で主に左の中継ぎとして活躍していた。通算248試合(うち先発は9試合)9勝12敗25ホールド1セーブの数字が残っている。「(中継ぎ投手の気持ちは)もちろん、よくわかります。出番がないと、表向きは見えませんが、裏でどれだけ準備をしているか。その辺の気持ちは汲み取って話をしているつもりです」と深くうなずく。 今季最下位に沈んだ西武は、西口文也新監督が指揮を執る来季も、打線の得点力不足を強力投手陣がカバーするスタイルに変わりはなさそうだ。負担のかかりやすいブルペン陣のケアは、勝つためにも重要な要素になる。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki