今夏はコロナ新変異株「FLiRT」が急拡大中、危険性やワクチンの効果は、秋冬はどうなる?
ワクチンや薬の効果は
救急外来の受診者、入院者、死亡者の数がこの夏、いずれも急激に増えたのは事実だが、パンデミック初期の流行時に比べれば、まだはるかに少ない。 また、FLiRT変異株がほかのオミクロン株よりも危険だという兆候も見られない。重症化を防ぐうえでは、ワクチンが今も有効であることがわかっている。 ただし、現在のワクチンは、以前に流行したオミクロン株の一種であるXBB.1.5に対応して作られている。このワクチンでも、FLiRT変異株を標的とする抗体はできるとはいえ、有効性は著しく下がっている。 そのためWHOや各国のワクチン規制当局は、2024年秋からの新型コロナワクチンをJN.1系統やその亜系統に対応したワクチンにするよう推奨している。 CDCは、生後6カ月以上のすべての人に、重症化を避けるため、2024~2025年版の新型コロナワクチンの接種を勧めている。日本では2024年度の秋冬に、65歳以上の人および重症化リスクの高い60~64歳の人を対象に、自治体による定期接種が始まる。 新型コロナ治療薬のパキロビッドやモルヌピラビル、レムデシビルがJN.1に対しても有効であることは研究で示されている。これらの抗ウイルス薬は、効くメカニズムがスパイクタンパク質の変異による影響を受けないことから、新しい変異株にも有効だと期待できる。
文=Sanjay Mishra/訳=北村京子